区分マンションのメーターボックスから漏水

以前のブログでも書きましたが、漏水事故って本当に突然やってきます。

以前の記事

今回も突然やってきました。

原因が分かりにくい、じわじわ漏水

「床から水が出ているようだから見てほしい」

突然の電話。
賃貸管理を受託している、昭和53年築の区分マンションの、事務所利用の入居者様からでした。

「床から漏水???」

水は上から下に流れるのが道理。下から染み出てくるなんて初めてのことです。
きちんと目で見て確認しないことには、何も判断ができませんので、ひとまず訪問することにしました。

現地の状況がこちら。

確かに、水が漏れて(染み出て?)います。

よく見てみると、居間の真ん中だけでなく、キッチン前の辺りから続いているようです。

天井からの漏水かと思い見上げても、水が漏れた形跡もなく、外壁の継ぎ目のシールが劣化しての漏水かなとも考えて、窓から身を乗り出してみても、特にそういった形跡も見当たりませんでした。

漏水は、原因探しが本当に難しいです。

天井でも壁でもないとすると、室内の配管の疑いもあるので、管理事務所で設計図書を確認してみることにしました。設計図書がこちらです。

濡れている部分に、怪しい配管がありました。
ですがよく見ると、かつて設置してあった床置きエアコンの排水管で、現在は使われていないため、この管が原因ではなさそうです。

既存の給水管や排水管は、玄関横のパイプスペースにまとまっており、こちらも距離的に直接の原因でもなさそうです。

水やお湯を流してみても、特に変化は見られず、この時は、原因がつかめませんでした。

直下のお部屋がレンタルルームで、そこのオーナーに連絡し、タイミングよく入室できたので、天井を確認してみましたが、こちらも漏水はありませんでした。

マンション管理会社の担当者に、過去に同じような事例があったか確認しても、特にないという回答で、原因がわからず、ひとまず様子を見てもらうことにいたしました。

事態の急展開、1階天井から漏水しているとの連絡

翌日の午前中、マンション管理会社から一本の連絡。

なんと、2階店舗の天井から漏水していているとのこと。
位置的にちょうど管理居室の真下であるため、原因がそこにあることは、ほぼ間違いないと言います。
前日見た限りでは、下階に漏れるような量の水は確認できなかったのに…

下階へ漏水したとなっては、被害が拡大していることになります。急いで原因を突き止め、応急措置でも漏水を止め、これ以上の被害を食い止めなければなりません。

急いで現地に向かいました。

管理居室は4階で、店舗は2階。間にある3階がレンタルルームです。
レンタルルームの室内には漏水はありませんでしたが、パイプスペースの天井からはポタポタと水が垂れ続けています。

前日は何もなかったところに、水が漏れている状況を見ると、本当に焦ります。

管理会社の担当者2人と、再度、室内やパイプスペースを探りましたが、やはり原因が分からず、ひとまず、3階パイプスペースから漏れている水が2階に行かないように応急措置をして、漏水調査会社に来てもらうことにしました。

給湯管からの漏水

調査会社の調査の結果、分かったのは、パイプスペース内にある、給湯管からの漏水ということでした。
パイプスペースの床に埃やいろいろな堆積物が溜まっていたため、目視では分からなかったのです。

入居者は事務所使用で、入居後に一度もお湯を使っていなかったそうです。
給湯管内の水が、時間を掛けてしみ出ていたところに、調査のためお湯を通したことが、今回の階下への漏水に繋がったというのではないかということです。

じわっとしみ出ているという程度で、下階まで漏れるような水量には見えませんでしたが、他には思い当たる個所もありません。お湯は使えなくなりますが、給湯栓を閉めることで、応急措置を施しました。

オーナーと管理組合と、修理はどっちの負担

お湯は使えなくなりましたが、漏水は止まったので、次は修理についての話合いです。
最大の論点は、費用は誰が負担するのかということ。

漏水の原因となった給湯管が、専有部分なのか、共用部分なのかで負担者が変わります。
専有部分であれば、区分所有者であるオーナーの負担、共用部分であれば、管理組合で負担です。

パイプスペースは、規約にも定められている共用部分です。当然管理組合で負担してもらえるものだと思っていたら、管理会社から、水道メーターを分岐点として、部屋側の管は専有部分となり、今回の漏水箇所は、部屋側のため、区分所有者の負担となると言われてしまいました。

国土交通省が作成している、マンション標準管理規約(単棟型)では、共用部分の範囲として、第8条別表第2に以下の通り記されています。

別表第2 共用部分の範囲
1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」

給水管については同規約別表第2で「本管から各住戸メーターを含む部分」を「建物の附属物」(共用部分)と明示しています。

今回の漏水の発生個所は、パイプスペース内にある給湯管ですが、メーターから先の専有部分側のため、標準管理規約の別表2によると、専有部分に該当し、区分所有者が負担することになります。

しかしながら、このマンションの管理規約の別表第2には、標準管理規約にある、「本管から各住戸メーターを含む部分」の記載はなく、ただ、

建物共有施設
エレベーター設備・・・・給水設備、給湯設備・・・

とあるだけでした。
また、このマンションは、セントラル給湯のため、給湯管のメンテナンスや補修は、全体の給湯を止めなければならず、区分所有者の判断で、自由に簡単に行える状況にはありません。

いくつかの点も踏まえて、管理担当者に、再度理事会に諮ってもらい、結果として、組合負担による修理をしてもらえることになりました。

給水管の交換費用は、保険の対象外

今回の漏水事故に対して、オーナーの加入する保険会社には、事故報告をし、調査にも来てもらっています。

保険の対象となるのが、『不測かつ突発的な事故による損害』ですので、専有部分の床の張替えや、下階の損害については対象となりますが、給湯管の補修工事費用は、対象外です。
理由は、漏水の原因が、『不測かつ突発的な事故』ではなく、『劣化』によるものだからです。

今回は、結果として管理組合で補修工事を行ってもらえることになりましたが、規約が標準管理規約と同じ内容であれば、オーナー負担になってもおかしくはない状況でした。

管理規約は、区分マンションの法律ですので、区分マンションの賃貸管理を受託する際には、しっかり読み込んでおくことも必要だなと実感させられた出来事でした。

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