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屋上防水の落とし穴 防水しただけでは意味がない!?

マンション・アパート・戸建て賃貸の維持管理では欠かせないメンテナンス工事。
先日購入した戸建て賃貸物件。入居者から屋上がぼよぼよしているとの報告が入居者からありましたので、確認してきました。

基本的に入居者さんは建物に関して知識はなく、不具合の連絡も「水が出ない」「温風がでない」「水が垂れている」といった、ざっくりとした内容がほとんどです。
状況や程度、細かい箇所によって対応が変わってきますので、管理会社としてはまずは現地で状況を確認し、原因を突き止め、補修内容を決めるという作業が必要となります。

今回の連絡は、「ぼよぼよしている」。ということで、状況・状態を確認しに現地に行ってきました。

防水層が膨れてウォーターベッド状態に

写真では分かりづらいかもしれませんが、確かに大きく膨らんでいて、押すとウォーターベッドのようにぼよぼよタプタプします。

これは確実に水が入っている状況です。

購入した時に前オーナーから聞いた修繕履歴では、屋上防水工事は7年程前にしていたはず。耐用年数が8年~10年といわれるウレタン防水なので、もう少しもってもいいかなという気はします。

よく見ると、架台の防水層も膨らんでいる…

他の架台を見てみると、同じように膨らんでいるところがいくつも。中には破断して水が漏れているところも。

今年も大雨が降りそうな予感がするし、この状態では防水の意味を成しておらず、いつ室内に漏水してもおかしくはない状況です。

しかしこれといった傷や大きな破断もないのになぜ???

破断箇所もなくキレイな防水工事なのになぜ?

屋上からの漏水の原因としてよく挙がるのが、パラペット(立ち上がり)や笠木の隙間ですが、そこにも不具合はなさそうです。そもそも笠木もありません。

そして、膨らみは主に架台を中心に発生しています。

原因は、防水工事ではなかった。

原因究明には、専門家に見てもらうことが正確で近道です。今回は、原因究明と補修の見積もりも併せて、3社に見てもらうことにしました。

そして判明した原因は、なんとアルミの手摺

一見すると、普通の手摺ですが、ある工事をしていないことで、せっかくの防水工事を台無しにしてしまっていたようです。

それは、水抜きの穴を作っていないこと。

そう。今回防水層の下に水が溜まってしまう原因は、アルミの手摺の隙間(継ぎ目やねじ穴)から入った雨水が、架台に立てられた支柱を伝って防水層の下に入り込んでしまったことだったです。

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本来はこうあるべき。
支柱の下、架台との接合部近くに穴が開いています。

前オーナーが依頼した防水業者が、防水工事の前に行うべき、グラウト注入工事(支柱に水抜きの穴を作り、グラウトと呼ばれる液剤を注入し、架台に水が行かないように蓋を作る工事)を怠ったことが原因でした。

一般的には、こういった直接防水工事にかかわることではないことも、10年間の保証期間内であればやり直してくれるそうですが、当時の施工会社が廃業してしまったようで、自己負担で直すことになりました。

防水工事というと、単に防水の方法に目が行きがちですが、それ以外の工事についても目を向けないと、せっかくの工事が台無しになってしまうこともあるようです。専門的な知識がないと分からないことですが…

最終的に選んだ工事内容と見積

今回は、3社に見積を依頼し、見積金額だけでなく工事内容や専門の知識の有無、コミュニケーションが取れるかどうかを重視し、選びました。

依頼した見積は、A案(全面やり直し)、B案(部分補修)2パターンです。
A案は、いずれ行わなければならない時のための参考に、実際はB案で行うことにしました。

B案の工事項目は以下の通りです。

  • ウレタン補修工事
  • 21本のグラウト注入工事
  • 改修用ドレン設置
  • 脱気筒1本
  • 廃材処分費・運搬費・諸経費

概ね50万円前後でしたが、1社だけ防水層を切開して水抜きし、乾かしてから蓋をし直すという新しいプランを提案してくれました。それだと10万程。

補修工事だといずれにしても100%の防水にはならず、全面的にやり直す修繕工事までの繋ぎだと考えると、50万円より10万円の方がありがたいですね。
専門知識もありコミュニケーションも取りやすく、なおかつ新しい提案をしてくれたということで、その1社にしました。

工事の状況は改めて報告します。

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