誰もが気になる不動産投資の始め方について、分かりやすく説明します。
今回は、『現金一括で購入する』のと、『ローンを組んで購入する』のとでは、どっちがお得かについて、実例を用いて検証してみました。
現金で買う方がいいのか、ローンを利用する方がいいのか、買い方によって何がどう変わるのかを調べてみました。
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検証に使う川崎駅徒歩6分のワンルームについて
検証に使うのは、この物件。
私が個人で2年前に購入した、川崎にある区分マンションです。
川崎駅のラゾーナ川崎方面出口から歩いて6分
平成3年築/12階建ての9階部分/ワンルーム(17.42平米)
価格:1,100万円/月額67,000円で賃貸中/表面利回り:7.3%
不動産業者間の情報サイト『レインズ』で探し、5,6件候補として出てきた中のひとつです。
川崎駅を選んだ理由としては、そもそも企業が多い街であり通勤利用者が多く、更に品川や東京へも一本で行けるので、賃貸ニーズが減ることはないかなということ。
また、この物件のある川崎駅東口側は開発が進み、今後も人気が出るのではないかという期待値からです。
駅からは大通りの明るい道を歩け、物件はオートロックや宅配ボックス付きで、女性も選びやすいかなということもありました。
検証する3つのパターン
価格交渉の結果、1,020万円で購入することができ、諸費用は816,000円。
物件価格と諸費用の合計11,016,000円が購入総費用となりました。
これからお見せするのは、私が購入時に検討したシミュレーション資料です。
11,016,000円を現金一括で購入した場合。(そんな資金はありませんでしたが…)
2つの金融機関から得られたそれぞれの条件で購入した場合の3つのシミュレーションです。
金融機関によって諸費用が変わるため、実際は、各パターン自己資金が異なるのが正しいのですが、同額でシミュレーションしました。
シミュレーションは、投資家の方々への提案資料としても利用しているReifaを使い、『BTCF(税引き前キャッシュフロー)』、『CCR(自己資本利回り)』、『運営・売却キャッシュフロー累計』の3つを比べてみました。
これにより、毎年のキャッシュフローの違い、自己資金の運用利回りの違い、購入から売却までに手元に残る額の違いが分かります。
※運営・売却キャッシュフローは、売却時の手残り額が分からないと算定できませんので、売却価格を920万円(表面利回り約8.7%で売却)として計算しています。
キャッシュフローツリーとCCRについてはこちらの記事を読んでください。
現金一括購入の場合
現金購入のキャッシュフローツリーはこちら。

現金購入のキャッシュフローツリー
ローン返済がないのでADS(元利返済金)が0になり、NOI(純営業収益)=BTCFで、年間603,000円の黒字となります。
CCRと運営・売却キャッシュフローはこちら

CCRと運営・売却キャッシュフロー
CCRは5.47%、運営・売却キャッシュフローは14,938,800円。
自己資金1,100万円が5.47%で運用でき、10年後に920万円で売却すると、1,100万円が1,490万円になって手元に残る計算です。
金利2.58%期間35年で810万円を借りた場合
金利2.58%期間35年で810万円を借り入れた場合のキャッシュフローツリーはこちら。

金利2.58%期間35年で810万円を借り入れた場合のキャッシュフローツリー
NOI(純営業収益)からADS(元利返済金)351,667円を差し引くと、BTCFは251,333円の黒字となります。
CCRと運営・売却キャッシュフローはこちら

CCRと運営・売却キャッシュフロー
CCRは8.62%、運営・売却キャッシュフローは4,947,992円。
自己資金291万円の運用利回りが8.62%となり、10年後に920万円で売却すると、291万円が494万円になって手元に残る計算です。
金利1.95%期間15年で810万円を借りた場合
金利1.95%期間15年で810万円を借り入れた場合のキャッシュフローツリーはこちら。

金利1.95%期間15年で810万円を借り入れた場合のキャッシュフローツリー
NOI(純営業収益)からADS(元利返済金)623,255円を差し引くと、BTCFは-20,255円の赤字となります。
CCRと運営・売却キャッシュフローはこちら

CCRと運営・売却キャッシュフロー
CCRは-0.69%、運営・売却キャッシュフローは5,739,369円。
自己資金291万円の運用利回りが-0.69%となり、10年後に920万円で売却すると、291万円が574万円になって手元に残る計算です。
比較
3つのパターンの結果を並べた表がこちらです。
自己資金が10年間で何パーセント上昇したかの比較もしてみました。
CCRで比べると、『2.58%_35年』がダントツで利回りが高く、自己資金と運営・売却キャッシュフローの差で比べると、『現金一括購入』が392万円とダントツです。
しかし、自己資金の上昇率で比較すると、『1.95%_15年』が、291万円を元手に282万円を得られたことになり、上昇率96.8%とダントツでした。ほぼ倍になったことになります。
逆に金額の多い『現金一括購入』は、最下位となりました。
まとめ
今回のお伝えしたかったのは、何がいいか悪いかではなく、同じ物件でも購入の仕方によって、運用結果が大きく異なることがあるということです。
3つのパターンで検証してみると、キャッシュフローが赤字でCCR-0.69%の『1.95%_15年』が、自己資金の上昇率では最も成績が良いという結果になっています。
これは、金利が低く借入期間が短いため、ローン返済が早く進み、売却時に手元に残る資金が大きくなるからです。
融資条件を選ぶにあたって、CPM仲間の何人かに、どのパターンを選ぶか聞いてみましたが、『1.95%_15年』を選ぶ人が多かったです。
理由を聞いてみると、『資金の運用効率がいい』『年間2万円の赤字なら耐えられるし、返済が早く進む方が、次に購入する際に選択肢が増える』ということでした。
※『次に購入する際に選択肢が増える』とは、バランスシートの純資産の部分が大きい方(借入が少ない)が共同担保として見てもらいやすく、次に購入する物件で融資を受ける時の、金融機関の印象がいいという意味合いです。(注:金融機関によります)
私が選択したのは『2.58%_35年』のパターンでした。
理由としては、仮に空室になった時に、『2.58%_35年』は29,000円の返済額と管理費・修繕積立金の11,600円を合わせた40,600円がひと月のマイナスですが、『1.95%_15年』は52,000円の返済額となるため、63,600円となります。
空室になった時に、焦らずにじっくり入居募集をできるメンタルでいられるのが、マイナスの少ない『2.58%_35年』であること。
また、キャッシュフローが少しでもプラスであることで、手に汗を握ることなく保有していられるかなと思ったからです。
『ゆとりを持った投資』を選択したわけです。
保有してからの3年間を振り返ってみると、空室に一度なりましたが、少し賃料を上げた強気の入居募集ができましたし、プラス分を積み立てていたおかげで、原状回復工事の際に新たに自己資金を用意する必要もなく済みました。
毎月口座に残る余剰金は、NISA口座で投資信託の積立を行い再投資もできているので、『ゆとりを持った投資』はできているのかなと思います。
同じ物件であっても、資金計画の選択次第で、自己資金の運用効率が大きく異なるという実例でした。
ここで用いた借入条件は、私の購入当時のものです。金融機関の融資状況は年々異なりますので、購入をお考えになった時点での条件で分析を行ってください。
- CCRは、『2.58%_35年』が8.62%で一番高い。
- 自己資金の上昇額は、『現金一括購入』が392万円で一番高い。
- 自己資金の上昇率は、『1.95%_15年』が96.8%で一番高い。
- CPM仲間の多くが選んだのは、『1.95%_15年』。
- 私が選んだのは、『2.58%_35年』。
- 理由は、空室になった時のメンタル。
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1976年生まれ、東京生まれ東京育ちで2人の娘の父です。長く賃貸管理の現場を経験してきました。その経験をこのサイトでお伝えしていきますので、皆様の賃貸経営にお役立ていただけましたら幸いです。
【保有資格】CPM(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/管理業務主任者/相続アドバイザー