賃貸不動産経営の、最大のリスクは空室です。
そのため、空室対策のための手段を用意しておかなければいけません。しかし、空室対策といっても具体策を挙げられる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、この記事では、空室対策で実践できる、入居者募集に効果的なアイデアを5つまとめてみました。
当社でも実践し、効果を感じている内容です。入居者募集を実際に行うのは不動産会社ですので、オーナーが実践する機会は、あまりないかと思いますが、依頼している不動産会社が、この様な手段を取っているかどうか、確認するために、知っておくとよい内容ですので、空室でお悩みのオーナーは参考にしてください。
- 入居者募集には写真が重要。内見数が増やすには、魅力的な写真や見たい写真を撮ることが大切。
- 内見数や反響が伸びない時は、賃料や条件設定を戦略的に見直すことも必要。
- 入居者募集は広告です。広告に強い不動産会社を見つけることも空室対策のひとつ。
目次
1.魅力的な物件写真と魅力的な広告を作成する
最初に挙げるのは、魅力的な物件写真を撮ることと、魅力的な募集広告の作成です。この点においては、単に「物件を見せる」のではなく、集客のためにも「魅せる努力」が非常に大切です。
では、魅せるためには具体的にどのような手段を取れば良いのでしょうか。
1.1.魅力に感じる写真の撮り方
入居者募集の際に最も重要な素材は画像です。募集図面やポータルサイト等、様々なツールで利用し、建物や室内の状況を、視覚に訴えることができます。写真の善し悪しによって、内見数が変わると言っても過言ではないでしょう。
では、内見数が増える写真とは、どのように撮るのが良いのでしょうか。
広く見えるように撮る
室内の写真を広く見せることは非常に重要です。開放的に見え、第一印象が良くなるので、内見に繋げやすくなります。アングルは水平に、部屋の角から斜め方向に撮ると、奥行きが出て広く見えます。
広角レンズを使用すると便利ですが、広く見える半面、写真で感じる広さと、実際の広さにギャップが生じるというデメリットもあります。写真の「広さ」に魅力を感じて内見に来る人の中には、実際の部屋を見て、ガッカリしてしまうこともありますので、注意してください。
。「見たい部分の写真」を意識する
室内写真は、「魅せる」だけでなく、「見たい」という要望にも応えなければいけません。例えば、キッチンや浴室、洗面台やトイレなどの水回りの設備を重視している人にとっては、その写真の重要度が上がりますし、収納の広さや状況を重視している人にとっては、収納の写真の需要度が上がります。
当社では、キッチンは全体写真だけでなく、コンロやシンクを上から撮ったり、引き出しを閉じたところと開けたところを撮ったり、クローゼットは、扉を閉じたところと開け放したところを撮ったりと、工夫しています。
写真は、現状を伝えるだけでなく、想像力を掻き立てるツールでもありますので、「見たい部分の写真」を提供することは重要ですし、入居者募集においては意識すべき項目です。
写真は多めに用意する
写真は、多めに用意した方が良いでしょう。
不動産ポータルサイトでは、建物外観と室内写真を15枚程掲載できますので、撮影ポイントやアングルやアングルを変えて、多めに撮影し、確保しておくことをお勧めします。
当社で運営している、賃貸サイトのガレージ賃貸では、一物件あたり20枚以上、なかには90枚掲載している物件もあり、内見の際には、写真の枚数が多いので、室内のイメージをしやすいと高い評価をいただいております。
また、最近ではSNSからの問い合わせも期待できますので、横画像だけでなく、縦画像や縦動画も準備しておくと良いです。
写真を若干加工する
撮影した写真は、多少加工することもお勧めします。
例えば、部屋の奥まった部分では、窓との位置関係が悪く、写真では暗く写ってしまうことや、現地では水平に撮ったつもりでも、斜めに写ってしまっていることもあります。そのような写真をそのまま使用すると、印象が悪くなってしまいます。
多少明るさを変えたり、角度を調整したりすることで、詳細が分かりやすくなりますし、印象も良くなります。
但し、加工をし過ぎると、虚偽情報と捉えられてしまうこともありますので、適度な調整に留めておきましょう。
1.2.紙媒体の広告
紙媒体の広告の代表例は、不動産業者間で流通しているマイソク(募集図面)です。
マイソクは、不動産会社が作成するものですが、オーナーも一度は目を通しておくことをお勧めします。
では、マイソクの作成には、どのような点に気を付けておくべきでしょうか。
デザイン・レイアウトを見やすくする
紙媒体の広告は、「見やすさ」が非常に大切です。そのため、デザインにしてもレイアウトにしても、見やすさを第一に考えなければいけません。写真、フォント、文章の長さ、色など、さまざまな要因が重なりますが、トータルを考えて作りましょう。
借りるかどうかを判断するために必要な、基本的な情報を掲載するのは当然のことですが、他の物件と比較したときに、候補に挙がるよう、周辺環境や物件のアピールポイント、初期費用の項目等も、掲載することをお勧めします。
文字が多すぎると情報過多に感じ、文字が少なく写真が多過ぎると情報不足にもなり得ます。全体のバランスを考えて構成を組みましょう。
掲載情報を精査しまとめる
紙媒体の広告はインターネットの広告と異なって、様々な情報を1枚に納めなければいけません。そのため、載せる情報の精査は非常に大切です。
1.3.ホームページやブログを作成する
運営や管理に労力を使いますが、物件紹介用のホームページやブログを作るという手法もあります。
ホームページは、制作費や維持費が発生し、ブログは、運営に時間と労力が掛かりますし、入居募集に効果的とも言い切れませんので、安易にはお勧めできませんが、検討される方もいらっしゃいます。
オーナーが個人で行う場合には、制作や運営に掛かる費用、情報発信の労力を考えて、検討することをお勧めします。
2.物件の内見数を増やすための効果的な方法
内見数を増やすことは、見込み客を増やすことです。写真は広告を魅力的にしたとしても、それを内見に結び付けなければ、入居には至りません。では、どのような施策をすれば、内見に繋げやすくなるのでしょうか。
2.1.検索されやすい条件作り
インターネットの不動産ポータルサイトには、「こだわりの条件」で検索できる入力欄があります。この欄には、建物の構造や室内の設備、階数や向き等のチェック項目があり、好みの条件で絞り込むことができます。
構造や築年数、所在階、部屋の向き等、変更することができないチェック項目もありますが、バス・トイレ別やインターネット無料等の設備や、礼金ゼロ・敷金ゼロ等の条件は、変更することが可能ですので、導入を検討することで、「こだわりの条件」のチェックを増やすことができます。
チェックできる項目が増えれば、検索されやすくなり、探している方の目に触れる機会も多くなりますので、入居者募集にとっては有利です。
2.2.オンライン内見や内見動画制作の検討
スマートフォンの普及により、インターネットを利用してのオンライン内見も、無料で簡単にできる環境が整ってきました。
オンライン内見は、遠隔地で賃貸物件を探している人には、わざわざ現地に赴かなくても、写真だけでは分からない細かいところも見ることができますし、音や周りの雰囲気も分かりますので、特に便利です。
オンラインであっても、内見できた部屋とできなかった部屋では、できた部屋の方が、安心して契約に前向きになれるのではないでしょうか。
ただし、オンライン内見は、客付け不動産会社が対応していることが前提となりますので、探している方が問い合わせた不動産会社によって、対応が分かれます。
動画を制作し、YouTube等で公開するというのもひとつの方法です。YouTubeのURLをQRコードに変換し、QRコードをスマホで読み取ることで動画を視聴できるようにしておけば、QRコードを募集図面に掲載するだけで、見たい時に、室内を確認することができるようになります。
動画は、現入居者が退去する前に、次の入居者を募集する際にも、とても役に立ちます。
3.内見数や反響が伸びない時は、賃料や条件設定を見直す
これまでお伝えした内容を実践してみても、内見数や反響が思ったほど獲得できていない場合は、「賃料が相場より高い」、「賃料以外の条件が、競合物件と比較して見劣りしている」といったことが考えられます。
入居時の初期費用や、毎月の賃料は、物件探しの核となる条件です。思ったより反響が獲得できていない場合には、思い切って変更することも大切です。
では、どのように条件を変更すればよいのでしょうか。
3.1.5,000円の区切りを利用した賃料変更
賃料変更を検討する場合、賃料を5,000円の区切りで変更することをお勧めしています。
5,000円ずつ下げるということではなく、例えば、賃料66,000円で募集していた物件は、1,000円以上下げて、65,000円以下にするということです。
不動産ポータルサイトでの賃料の選択条件は、上限も下限も5,000円刻みです。66,000円では7万円以下の条件でないと検索結果に表示されなかったものが、1,000円下げることで、6.5万円以下の条件でも表示されるようになるからです。
ただ、それでも相場や競合物件と比較して高く感じるようであれば、反響が芳しくないこともあります。
賃料を変更する前には、相場や競合物件の条件を調査して、どのようなステップで、変更していくかを検討することをお勧めします。
また、この条件変更は、賃料20万円以下の単身物件に対してのみ有効です。20万円以上のファミリータイプの物件では1万円刻みとなりますので、ご注意ください。
3.2.初期費用の負担を軽減する条件変更
単身向け物件では、入居する際に発生する初期費用を軽減するという対策も、効果的です。転居に際しては、引っ越し費用や家具・家電の購入費用など、入居時の初期費用以外にも、高額な負担が大きくのしかかります。初期費用を低く抑えられるようにすることで、入居のハードルが下がり、検討してもらえる機会も増えるということです。
主な対策としては、「礼金と敷金をゼロにする」「家財保険を低額のプランにする」等です。
敷金をゼロにすることは、貸主にとっては、借主が退去時の借主負担分を賄えるのかという不安にも繋がるかもしれませんが、入居時に、「敷金の代わりにクリーニング費用を受領しておく」、「原状回復費も代位弁済対象となる家賃保証会社に加入してもらう」といった対策を取っておくことで、不安の軽減になるでしょう。
4.内見したいと思ってもらえるリフォームや設備のアップグレードを検討
築年数が経って、設備や内装が陳腐化した時は、リフォームや設備交換をお勧めします。
古くて使い勝手が悪い設備や、使用感のある内装のままでは、いくら対策を行っても、入居が決まらないことがあります。その様な状態では、恒常的な賃料の下落と空室率の上昇を招いてしまいます。
設備や内装が古くなったと感じたら、リフォームやリノベーションの検討してみましょう。
入居者に敬遠される設備の主なものは、バランス釜のお風呂、2バルブの水栓、室外にある洗濯機置場です。給湯器、シングルレバー水栓、室内洗濯機置場に変更するだけで、賃料下落と空室率上昇を防ぐ対策になります。
ただし、リフォームや設備のアップグレードには、多額の費用が必要となります。費用を掛け過ぎることで採算が合わなくなることもありますので、費用対効果も検証し、検討しましょう。
内装については、和室など昭和的な感じの内装を嫌がられることもありますが、バランスの取れた内装であれば、レトロ感として、そこに魅力を感じる方もいます。敢えて残した方が良いこともあります。そういった物件の入居者募集に強い不動産会社もありますので、相談しながら検討しましょう。
5.現代のSNSを使ったプロモーション戦略
今の時代は、SNSは入居者募集の広告媒体としても有力です。不動産広告に相性が良く、効果があるとして言われているのは、YouTube、Instagram、TikTokです。
YouTubeは動画のみですが、InstagramやTikTokは、写真と動画どちらもアップできますし、広告することもできます。
当社でも、SNSは、Instagramをメインに運営していますが、リール動画、スート―リーズで興味を持ってもらい、運営する賃貸サイト(ガレージ賃貸)の物件詳細ページからお問い合わせいただくという流れを作っています。
お問い合わせいただいた方の8割の方が、「インスタを見て」ご連絡をいただいておりますので、効果的なツールだと実感しています。
ただ、SNSを効果的なツールとするには、一定数以上のフォロワーや登録者数を得る必要があります。
個人オーナーが所有する、特定の物件の情報を発信するだけでは、フォロワーや登録者を増やすことも難しいので、SNS運営に強い不動産会社に依頼するのが良いでしょう。
6.入居者募集に効果的なアイデアのまとめ
賃貸物件の空室対策のアイデアについて、当社も実践していることを紹介しました。
入居者募集は広告です。立地や内装、設備といった物件のアピールポイントを、写真や文章、動画を使って、物件を探している人に、どのようにして訴求し、広く拡散できるかが肝です。
賃貸オーナーが個人でできることもありますが、不動産会社のサポートは不可欠です。入居者募集の方法も、時代とともに変化し、物件の探し方も変わってきています。時代の変化を捉え、上手に活用している不動産会社をパートナーに選ぶことが、空室対策の最も重要な事なのかもしれません。
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1976年生まれ、東京生まれ東京育ちで2人の娘の父です。長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。
【保有資格】CPM(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/管理業務主任者/相続アドバイザー