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実際にあったサブリース契約トラブル

令和2年3月6日に、サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化と賃貸住宅管理業の登録制度の創設を目的とした、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」が閣議決定されたとの報道がありました。

背景にあるのは、管理会社とオーナーや入居者との間でのトラブルの増加、特に一括借上サブリース契約での、家賃保証に関する契約条件を原因とするトラブルの増加です。

一括借上サブリース契約のトラブルについては、最近ではかぼちゃの馬車問題でクローズアップされました。

30年以上の一括借上げの謳い文句を信頼して契約したけれど、2年後には家賃改定で減額請求されたとか、借上げ契約解約がスムーズに行われないといったトラブルは、それ以前にもありましたし、同じ謳い文句で営業をしていた、賃貸併用住宅を売りにしている大手ハウスメーカーもありました。

空室時も家賃収入が保証される一括借上サブリース契約は、一見すると、不動産投資の最大のリスクである空室リスクがゼロになる、オーナーにとっては最高のシステムのようですが、契約する管理会社の資質によって、賃貸経営が大きく左右される恐ろしい側面もあります。

今回は、先日ご相談いただいた、一括借上サブリース契約に関するトラブルをご紹介します。

購入前からパッケージになっていた管理会社とサブリース契約

3年前に投資用ワンルームを2戸購入したサラリーマンのAさん。会社の先輩に勧められたのをきっかけに不動産投資に興味を持ち始め、参加した不動産会社のセミナーで勧められたワンルーム2戸を購入。

金融機関の紹介や管理会社の紹介まで、家賃収入を得るまでの業務をまるごとお任せできるのも魅力だったとか。

実際に家賃保証が始まってからは、毎月契約通りの賃料が管理会社から振り込まれ、途中、管理会社の経営不振により、新たな管理会社へ移管されるとの通知があり、支払い家賃に不安を感じたことはあったが、新しい管理会社からも家賃は滞ることもなく振り込まれていたため、特に不信感も不満もなかったそうです。

売却を考えてから発覚した驚きの実態

Aさんが、自身の物件の管理状態が、実はとんでもないことになっていると分かったのは、売却を検討してからのこと。高値で売却できる可能性もあるかと、売却査定に出したところ、査定してくれた不動産会社の担当者から、言われたひと言がきっかけだったそうです。

「購入後にサブリースを解約したいという買主さんもいらっしゃいますので、入居者の入居条件が分かる書類をお持ちですか?」

管理会社は購入当初から変わったとはいえ、毎月家賃は入ってくるので、入居者がどんな人か、どんな条件で入居しているのかも、気にも留めていなかったそうですが、言われてみれば当たり前のことだと思い、調べてみると、様々なとんでもないことが発覚したそうです。

当社にご相談いただいたのはこの時期で、相当お困りのご様子でした。

入居者との賃貸借契約書を見せてもらおうと思い、管理会社の連絡先に電話したAさんですが、何度電話しても誰も出ず、留守番電話にメッセージを残しても、折り返しひとつないという状況だったそうです。

業を煮やして、所在地と記載がある住所に行ってみても、誰も出てこず、営業している雰囲気もなかったそうです。こうなると、管理会社の営業実態も怪しく、毎月振り込まれている家賃についても、いつ止まるかもわからないのではと思えてきたそうです。

解約しようにも、連絡先が分からなければそれもできません。そもそも入居者についての情報が一切手元にない状態では、入居者からの家賃が管理会社に支払われている以上、全てを管理会社経由で進めるしか方法がありません。まさに行き詰まりの状態です。

因みに、サブリース契約は、オーナーと管理会社との賃貸借契約になり、借地借家法が適用されます。委任契約の一般管理委託契約が、いつでも解約できるのとは違って、サブリース契約では、解約に双方の合意が必要で、それができなければ、借地借家法に基づく明け渡し請求の手続きが必要となります。

幸いなことに、前管理会社の担当者とは連絡が取れていて、その担当者からの紹介で引き継いだという経緯もあり、その担当者から現管理会社に連絡してもらうことにしたそうですが、そこで知ったのは、新たな驚愕の事実。

なんと、現在の管理会社から、更に他の会社にサブリースされていたとのこと。

オーナーなのに、何も知らなかった・・・

こうなると、複雑すぎて個人ではなかなか手に負えません。現管理会社と直接連絡取れないばかりか、更にサブリースしている管理会社は、ホームページはあるようですが、連絡先が記載されておらず、住所はバーチャルオフィスで、同じく担当者と連絡を取ることが困難です。

入居者に家賃を直接振り込んでもらうように連絡を取ろうにも、契約書類の引き渡し(コピーも含め)を拒否されていては、契約内容はおろか、連絡先や名前すら知らなければ、通知手段は限られてしまいます。そもそも入居者がいるかどうかも不明です。

以前ご相談いただいた同じようなケースでは、入居者はその不動産会社の社員であったということがありました。外部で募集はせず、社宅として利用していたのです。

安定した賃貸経営が行ってくれていると思って任せていた、管理会社やサブリース契約の実態は、いつ家賃の支払いが滞ってもおかしくないことが判明し、当初の目的であった売却も、より困難な状況になってしまいました。

弊社の顧問弁護士を紹介しましたが、法的な手続きの前に、まずはご自身で管理会社に契約書類の開示と解約手続きについて、しつこく粘り強く要求していくことがいいということになりました。

なかなか起きない珍しいことと思われがちですが、ある種の投資用不動産の販売会社から紹介され、調査もせずにそのまま任せていると、よくある事例です。弁護士もこの手の相談はよく受けると言っていました。

一括借上サブリース契約で家賃が入金されているからと、安心してすべてを管理会社任せにするのではなく、入居状況や賃貸借契約の内容について、オーナーも把握できるようにしておくことも、トラブルが発生した時にも対応しやすくなるのではないでしょうか。

また、当然のことですが、コミュニケーションがしっかり取れる管理会社をパートナーに選ぶことも重要です。

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