長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
リノベーションした賃貸住宅への人気が高まってきています。
「オシャレでかっこいい家に住みたい」とは誰しもが思うこと。雑誌やSNSでも手軽に内装写真を見ることができるようになり、リノベーションいていることを条件として物件探しをする人も増えてきました。
賃貸経営を行っている貸主としては、今後の競争力を保つためにも、是非ともリノベーションの知識は入れておきたいところですが、掛かる費用と上がる家賃とを比べると、ためらう方も多いはず。
そこで、今まで多くのオーナー様に、賃貸住宅のリノベーションを提案してきた経験から、リノベーションすることによって得られる効果や費用など、オーナー様に知っておいて欲しい知識をまとめてみました。
目次
賃貸リノベーションの効果
賃貸住宅をリノベーションすると、3つの効果が期待できます。
- リノベーションすると賃料が上がる
- リノベーションすると稼働率が上がる
- リノベーションすると劣化を防ぎ賃貸住宅としての需要が延びる
リノベーションすると賃料が上がる
リノベーション賃貸物件は、全体数がまだまだ少なく、希少性があります。
一般的に賃料を構成するのは、「地域を利用する価値(利便性)×空間を利用する価値(快適性)」ですが、リノベーション物件には「他にはない物件独自の価値(独自性)」が加わります。
独自性が加わることで、お部屋を探している人が、入居を決断するときの比較対象が、その地域の相場や物件ではなくなるため、地域相場に縛られず、高い賃料でも決めることができます。
リノベーションすると稼働率が上がる
大抵の部屋探しは、実家や勤務先、現住所を基準にエリアを決め、広さや賃料といった条件で絞り込みます。そして条件の中でも大きな割合を占めるのが「最寄り駅」と「最寄り駅からの距離」です。
同じ駅で同じくらいの徒歩圏内のそれほど広くないエリアにある賃貸物件で、限られた需要を取り合うことになるのが一般的な入居者募集ですが、リノベーション賃貸物件は、「ここに住みたい」、「こういう部屋に住みたい」という需要も取り込め、最寄り駅や最寄り駅からの徒歩圏にとらわれない広いエリアでの募集活動が可能となります。
入居後も、比較対象となる他に目移りするような物件が少ないため、長く住んでもらえ、稼働率の上昇が見込めます。
リノベーションすると劣化を防ぎ賃貸住宅としての需要が延びる
お部屋は、年数が経つにつれ、建物や内装、設備が劣化していきます。
劣化には、「汚損や破損などによる物理的な劣化」、「設備の機能が陳腐化しニーズに合わなくなる機能的劣化」「間取りや仕様がニーズに合わなくなる社会的劣化」の3種類があります。
リノベーションは、設備交換や間取り変更も可能ですので、これらの劣化を防ぎ、賃貸住宅としての寿命を延ばす効果があります。
賃貸リノベーションの費用
賃貸住宅をリノベーションすることによって得られる効果については大きく3つありますが、では、その効果を得るための費用はいくらなのでしょうか。
リノベーション費用を構成する2つの要素
賃貸住宅に限らず、リノベーション工事の費用を構成するのは、「材料費」と「人工(にんく)代」の2つです。
高価な材料や設備を使うと高くなりますし、必要な職人の人数が増えると高くなるという仕組みです。
特に費用が高額になるのは、キッチン、浴室、トイレ、洗面台といった水回りの設備です。
材料費が高いということもありますが、水道、電気、組立と、関わる職人の人数も増えるからです。
リノベーション工事を構成する3つの内容
リノベーション工事の内容としては、「設備交換(主に水回り)」、「意匠変更(建具や壁・床)」「間取り変更」の3つがあります。
3つすべてを行う工事が「フルリノベーション」。どれか1つないし2つを行う工事が「部分リノベーション」です。
建物や室内の状況、地域性によってその部屋に求められる内容が変わりますので、工事を決める前には、市場やニーズをしっかり調査し捉えておくことが求められます。
賃貸住宅リノベーション費用の相場
さて気になる費用ですが、フルリノベーション工事の場合は、平米あたり10万円~14万円程です。
20㎡の場合、概ね200万円~280万円
30㎡の場合、概ね300万円~420万円
40㎡の場合、概ね400万円~560万円
【事例1】
広さ:17㎡ 施工費:215万円 上昇賃料:1.8万円
工事内容:無垢フローリング、キッチン交換、キッチンカウンター造作、洗面台新規造作、独立トイレ新設、ユニットバス交換、配管リニューアル
【事例2】
広さ:39㎡ 施工費:320万円 上昇賃料:1.5万円
工事内容:無垢フローリング、オリジナル造作キッチン、ユニットバス新設、給湯機新設、洗面台造作、トイレ交換、給水管リニューアル、天井躯体現し、リビング稼働棚造作
先にも述べましたが、お金をかければ効果が高いということではありません。
リノベーション工事に期待する、賃料上昇、空室率減は、地域性によっても変わります。工事を決める前には、市場やニーズをしっかり調査し、必要な内容を精査してから行うようにしましょう。
賃貸リノベーションの費用対効果
さて、リノベーション工事に費用を費やしたとして、効果はどうやって測ればよいでしょうか。
1番目の事例で考えてみます。
収益還元法による価値の変化でみるリノベーションの費用対効果
賃貸不動産の価格は、年間賃料÷利回りで求められます。
利回り6%(仮定)、月額賃料が6万円の部屋の価格は、6万×12ヶ月÷6%=1,200万円
賃料が1.8万円上昇すると、(6万+1.8万)×12ヶ月÷6%=1,560万円となります。
1,560万円-1,200万円=360万円
215万円のリノベーション費用を掛けることで、360万円の価値を高めたことになります。
売却を考えた場合、リノベーションを行う前は、1,200万円の市場価値であったお部屋が、リノベーションをすることによって1,560万円まで上昇する計算になります。
投下資本利回りでみるリノベーションの費用対効果
215万円を自身の不動産に投資し、月々1.8万円の賃料上昇があると、1.8万円×12ヶ月÷215万円×100=10.05%となります。
215万円の年間運用利回りは、10.05%。
215万円の投資先として、利回り10.05%上回る商品がなければ、リノベーションへ215万円投資することはいい投資といえそうです。
「収益還元法による価値の変化」と「投下資本利回りで考える」は、賃料収入だけで計算しましたが、空室率や運営経費を差し引いた「手取り額」でも計算してみると、賃料と稼働率が上昇することによって、空室期間の損失が減り、手取り額も上昇します。
上昇した賃料分の価値だけでなく、それ以外の価値の上昇が期待できるのが賃貸住宅リノベーションの特徴です。
保有している賃貸住宅をリノベーションすることは、ターゲットを広げることができ、「賃料が上がる」「空室が減る」「劣化を防ぐ」効果も得られます。
但し、ニーズに合わない間取りや設備にしたり、オーナーの趣味を色濃く反映させた内装にしたりすると、逆効果になることもあります。間取りや設備、内装について、フルリノベーションなのか、部分リノベーションなのか、期待できる投資効率について調査し、専門家と話し合いながら進めていくことをお勧めします。
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