長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
とある都内の繁華街でお預かりしている、賃貸物件(区分マンション)での出来事です。
4年程入居していた方から、退去の連絡が入りました。
家賃を滞納することはありませんが、遅れることはしばしばで、メールやSNSで連絡しても返信がなかったり、電話してもほぼ100%留守電という、少しだらしないところがあるのかなという印象の入居者です。
そういう印象のある方ですが、退去立ち合いの日程調整はスムーズに進み、迎えた退去当日。
予想通りの対応と、期待外れの室内と
オートロック盤で部屋番号を押して、「ピンポーン、ピンポーン」「シーン」「ピンポーン、ピンポーン」「シーン」
入居者の印象って大抵当たるのです。大丈夫かなぁと思ったら大丈夫でないことの方が多いのです。
約束の日を忘れているのか、それとも単なる遅刻か。いずれにしても、居てもらわなければ始まらないのが退去立会。こういう時は、来るまで待ちます。本人に連絡したり、緊急連絡先のお母さまに連絡したりで、結局遅刻で、30分遅れのスタート。
それでも日程再調整にならなかったのは上出来です。忘れていたから再調整で、ということもしばしばあるのが退去立会ですから。
だらしないところがあるかもという入居者の退去立会は、結構不安です。
オーナーにとってベストな原状回復は、クリーニングのみで済ませられることです。施工期間も1日で済ませられますし、即入居可で募集できるアドバンテージもあります。
タイミングよく進められれば、クリーニング完了までに申し込みが入り、完了後すぐに入居ということもあり得ますし、空室期間が短ければ賃料収入も安定します。
ですが、それ以外の工事が発生すると、時期によっては職人さんの手配ができずに、1ヶ月を超える工事期間になってしまうことも。3月末や4月上旬の、繁忙期がそろそろ終わりに差し掛かる時期に、工事でこれだけの期間がかかってしまうと、入居募集に影響しますので、大打撃です。
今回も一抹の不安を抱えながらも、なにとぞクリーニングだけで済ませられるようにと祈りつつ入室すると、、、、繰り返しになりますが、大丈夫かなぁと思ったら、やっぱり大丈夫でないことの方が多いのです。
入ってびっくり。玄関入ってすぐのトイレの扉に、「絶対パンチしたでしょ!」って程の大きな穴が開いているではありませんか。。。
いきなりこれか~~~!
私「グーでやっちゃいました?」
入居者「いや、ちょっと酔って帰ったときにぶつかっちゃって」
私「ご自身で開けたんですか?」
入居者「はい、すみません…」
私の拳骨を入れてみたら、ほぼジャストサイズ。位置も私の肩の高さで、腕を伸ばすとちょうどよい高さです。どう見てもぶつかって出来た穴ではありません。
私と同じくらいの身長の人が、ストレートを繰り出して開けた穴と容易に想像できます。
入居者は女性で、私よりも小柄で華奢。絶対違うでしょと思いましたが、こういう時はあえて反論もせず、淡々と手続きを進めます。
他にも、浴室の収納棚が一部溶けていたり、
間仕切りドアや収納扉には割れ、
クロスはところどころに液だれのような染み、黒い炭のような汚れや手形、血痕のような染みもあり、
とても刺激的な生活を送っていた模様。
クリーニングで済ませて早く次の入居者を!という希望はもろくも崩れ去り、預かり敷金から大きくはみ出そうな原状回復費用を、きちんと支払うのかという大きな不安に変わります。
挙句の果てには、鍵を一本忘れたとのこと。
「う~~ん。いい加減にしてね」という気持ちを抑え、支払期限と鍵の返却期限を定めて、ひとまず退去立会は終わらせます。
状況が状況ですので、オーナーにも時間をいただいて、現地を見てもらうことにしましたが、相当ショックを受けておられました。
私もオーナーという立場でもあるため、お気持ちはよく分かります。
原状回復費用の支払いと鍵の返却
さて、原状回復費用の支払いと鍵の返却ですが、期限を過ぎても入金も返却も、もちろん連絡もありません。
ようやく返信があったと思ったら、こんな文面が。
「原状回復費が高すぎるので納得できない部分があるので東京都都市整備局に相談窓口があるみたいなので、相談に行きたいので、もう少し待ってほしいです。(原文ママ)」
あれだけ破壊しておいてそれかい!という突っ込みたい気持ちを抑えて
「承知しました。室内の破損状況等もきちんとお伝えください。」
修理項目が多いので、金額が上がってしまうのは仕方がないことですが、金額だけで判断される方も多いのが実情です。
こういったトラブルに備えて、オーナーと入居者の負担区分の正当性を証明する資料として、弊社では、入居前の状況と退去時の状況を写真で管理しています。
ですから、東京都都市整備局に相談に行かれることは、むしろ納得していただけるステップかなとも思います。
それよりも早く鍵を返却して欲しいのですが、それについてはひと言もありません。それに、退去立会の日以降に入室した形跡が。
解約日は退去立合日ですので、明け渡し遅延と不法侵入です。
このままやり取りを進めていても埒が明かないと思い、内容証明を送りましたら、鍵の返却と原状回復費用の入金を確認できました。
その後もメールでやり取りをしたのですが、周りの友達からのアドバイスで、物事を進めていたようです。
退去後は、すぐにインターホンの履歴をリセットするのですが、ここでは、不測の事態に備え、一旦チェックすることにしました。
映っていたのは、定期的に訪れるホスト風の若い男や、時折訪れる30~40代くらいの男性数人、そしてなんとストレッチャーを準備した救急隊員も映っていました。
トイレのドアの穴、クロスに残る血痕のような汚れ、そして救急隊員...
ひとつ息を吐いて、そっとリセットボタンを押しました。
新居では、清潔感のある生活をしてもらいたいものです。
- 原状回復は、クリーニングで済ませられるのが、一番嬉しい。
- 入居前の室内写真を撮っておくとよい。
- 鍵は必ず返しましょう。
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