長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
賃貸管理業を20年以上行い、数多くの退去立会を経験すると、いろいろな状況に向き合うことになります。
退去立会で心掛けていることは、「入居者から原状回復費用を取る」ではなく、「原状回復のガイドライン」に基づき、借主負担となるものは借主負担に、貸主負担となるものは貸主負担に、公正な視点でジャッジすることです。
それには、原状と現況を比較し、借主の故意過失による汚損破損を見逃さない視点が欠かせません。
また、退去立会で借主負担分を見落とすと、オーナーに余計な費用負担が発生しますし、修繕が必要な個所を見落としてしまうと、入居募集にも影響が出るだけでなく、入居後のクレームとなり、空室率にも影響が出ます。
修繕が必要な箇所を見落とさない慎重さと嗅ぎ分ける経験、貸主負担と借主負担を明確に区分できる知識が求められるのが退去立会です。
この記事では、賃貸管理業歴20年以上の私が、今まで失敗してきた経験を基に、退去立会で失敗しないためのポイントを紹介します。
- 退去立会では、原状回復のガイドラインに基づき、公正な視点でジャッジすることが大切
- 修繕箇所の見落としは、入居募集にっも影響が出るので、慎重に。
- 室内だけでなく屋外でも残置物がないか確認することが大切。
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目次
玄関周りで見るべきポイント
外と内との境界である玄関周りは、汚れも傷もつきやすい場所です。
ここでは、クロスの汚れや破れ、玄関ドアの汚れ・破損をチェックしておきましょう。
原状回復で借主負担となるものは、故意過失による汚損破損です。
靴の脱ぎ履きといった、日常生活でつくクロスの汚れや破損は借主負担にはなりませんが、それ以外の、例えば、引越し時の荷物の搬入出で発生した傷等は、故意ではなくても過失にあたり、借主負担となります。
玄関ドアの凹みやクロスの破れ、框の傷や、下駄箱、シューズボックスの角も、モノをぶつけた際に傷や凹みができやすいので、注意して見ておきましょう。
室内ではありませんが、玄関横にあるメーターボックスの内部も確認が必要です。
メーターボックスとは、水道メーターやガスメーターがまとめられているスペースですが、ここに私物を置いていることがあります。
退去立会の時に気づかないと、後日請求しても支払ってもらえないこともありますので、必ず確認しましょう。
- 玄関ドアの状態(凹みがないか等)
- クロスの汚損・破損
- 框やシューズボックスの角(傷がないかどうか)
- メーターボックス内(残置物の有無)
水回りで見るべきポイント
水回り(キッチン、浴室、洗面台、トイレ)は、毎日出入りがあり、水を使う場所でもあるため、室内でも特に汚れや傷がつきやすく劣化しやすい場所です。
劣化しやすい場所では、経年変化によるものなのか、故意過失によるものなのかを見極めることが肝要です。
キッチンで確認すること
水回りの中でも特に汚れやすいところがキッチンです。確認すべきポイントも多いので、時間をかけて確認するようにしましょう。キッチンでは、部品(菊割れゴムや整流器)の紛失、シンクの傷、水や油による汚れ、水栓や排水管からの水漏れなどをチェックします。
キッチン水栓は、パッキンの劣化により根元から漏水することがよくあります。入居後のクレームにも繋がりますので、しばらく水を流してみて、漏水しているかどうかの確認は必須です。
油汚れも付きやすい場所です。引き出しやシンク下収納には、油の輪染みがついていることがよくあります。私は、収納部分は全て開け、床や扉裏もチェックするようにしています。
浴室、洗面台、トイレで確認すること
浴室、洗面台では、キッチンとは異なり油汚れはありませんが、ヘアピン等の錆汚れや除光液などにより棚に穴が開いてしまっていることがあります。
また、古いユニットバスですと、壁の下部が錆びで膨れ上がっていることがあります。
扉を開けてちょっと覗いただけでは確認できないところも多いので、きちんと中に入って確認するように心掛けています。
シャワーホースや水栓からの漏水もよくあることですので、水を流して確認しています。
トイレについては、便座のひび割れやクロスの汚れ、ボールタップの劣化による排水不良などがあります。水を流し便座を上げて隅々まで確認しています。
リビングや洋室・和室・収納で見るべきポイント
リビングや洋室で見るべきポイントは、傷や汚れの付きやすい壁と床です。物を落としたりぶつけたりすることで傷がつきやすいところですので、隅々までチェックします。
経年劣化によるものか、故意過失によるものか、判別が難しい汚れや傷がつきやすい場所でもありますので、入居前の室内写真やチェックシート、借主からのヒアリングなどで、確認するようにしています。
設備では、エアコンのチェックも怠らないようにしています。内部のカビや汚れ、ルーバーの破損の有無、動作チェックは必ず行っています。
部屋以外で確認するべきポイント
部屋以外では、「駐輪場に自転車を置きっぱなしにしていないか」、「ゴミ置場に粗大ごみを放置していないか」、「集合ポストに郵便物を入れっぱなしにしていないか」といった点をチェックしています。
これらがそのままになっていると、建物の美観を損ねることになります。清潔感のない建物は、入居募集にも影響しますので、残置物の無いよう、この3点は、借主にしっかり確認するようにしています。
部分補修しまくって退去立会に臨むツワモノ入居者
退去立会で失敗しないための、一般的なチェック箇所についてお伝えしましたが、中には、借主負担分を抑えようとして、部分補修をしまくって退去立会に臨む借主もいました。
キッチンシンクに開けた穴を補修し、壁に開けた穴をボードごと部分補修し、扉の傷も自分で塗装するという強者です。
よく見ると補修したと分かる微妙なクオリティでしたので、補修したことが分かりましたが、パッと見ただけでは見逃してしまう可能性もありました。
立ち合い時に見つけられたので、その場で借主負担であることを了承してもらえましたが、見落としていたら、支払ってもらえたかどうかも分かりません。普段通り室内チェックを行うことの重要性を、再認識した、退去立会でした。
トラブルなく退去立会を終えるために必要なこと
トラブルなく退去立会や解約精算を終えるために必要なことは、借主に納得してもらうことです。原状回復ガイドラインに基づいていること、金額が妥当であること、契約書に記載してあること、入居時には無かった傷や汚れであり、故意過失が認められるものであることを、きちんと説明し、納得してもらうことです。
入居時の室内状況を写真で保管したり、入居者から原状報告書を提出してもらったりして、「原状」が分かるように資料を整えておき、賃貸借契約書に工事内容ごとの目安の金額を明記し、契約時に原状回復についてしっかり説明し、入居時から、原状回復について理解してもらうことで、退去時のトラブルは軽減できるのではないでしょうか。
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