長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
大きな問題ではないけれど、小さなトゲとして心の隅に鎮座し続ける、アパートの放置自転車問題。
破れたサドル、パンクしたタイヤ、錆びた車体にぼろ布のようにだらしなく垂れ下がった雨除けカバー。
スペースが無駄に占拠され、入居者の使い勝手が悪くなるだけでなく、アパートの印象も悪くなり、入居者募集のマイナス要因にもなってしまいます。
この記事では、所有する賃貸アパートにある放置自転車の撤去までの流れと予防方法について、紹介します。
放置自転車かなと思ったら
写真のような、サドルが破れたまま、パンクしたままで、どう見ても誰も乗っていないでしょうというような状態で、長期間駐輪してある自転車は、放置自転車の疑いが濃厚です。
時には、下のコンクリートにスタンドの錆が移っていることもあります。
ですが、誰も乗っていないだろうと考えて、すぐに撤去してしまうのは危険です。実は使っている自転車だったということであれば、場合によっては弁償しなければいけなくなることもあるからです。
このような状態の自転車を見つけたら、すぐに撤去するのではなく、まずは所有者が、現入居者なのか、過去の入居者なのか、それとも全く関係ない人なのかを確認しましょう。
放置自転車かどうかの確認方法
簡単に放置自転車かどうか確認する方法は、自転車に張り紙をすることです。
『〇月〇日に、この通知が貼ったままの自転車は撤去いたします。所有者の方は、張り紙を剥がしてください。』というような内容にし、期日までに剥がされた自転車は所有者がいる自転車ということです。
併せて、入居者全員に同じような通知文を出すと、より効果的です。張り紙や通知文には、連絡先を書いておくと良いでしょう。
入居者からの連絡もなく、張り紙が貼ったままの自転車は、放置自転車の可能性が高いということになります。
もうひとつ行うことは、盗難車かどうかの確認と、所有者が誰かの確認です。
所有者の調べ方・盗難車かどうかの調べ方
所有者が現れないからと言って、直ぐに撤去するのではなく、その前に行うことが一つあります。
『盗難車かどうかの確認』です。
現在は、ほとんどの自転車に、防犯登録シールが貼ってあります。シールには管轄の警察署と、番号が記載してありますので、管轄の警察署に電話すれば確認できます。
防犯登録によって、盗難車かどうかは教えてくれますが、所有者が誰かは教えてくれません。そういう時は、『現入居者か、過去の入居者かを知りたいので、名前を言うので、該当する人がいるかを教えてほしい』と聞いてみましょう。
神奈川県のある警察署で、そのように聞いてみたところ、快く教えてくれました。神奈川県では、防犯登録シールには、『神奈川県警察』と記載してありますが、確認先は、所轄の警察署になります。
※都内の警察署で同様に聞いてみたところ、個人情報だからと、こちらから名前を伝える方法でも、教えてくれませんでした。警察署によって対応が変わるようです。
撤去について
入居者の所有物ではなく、盗難車でもないことが分かれば、撤去です。
撤去には費用が発生しますが、これはオーナーの負担になります。
不用品回収業者を探してみると、1台数千円で引き取ってくれる業者や、地域によっては無料で回収してくれる業者もあるようです。
無料で回収してくれるのは、海外へ輸出したり、修理して販売する業者のようです。不法投棄をするような業者はないとは思いますが、後々トラブルになる可能性を回避するには、古物商や産業廃棄物処理業者の許認可を得た業者の方が安心できるでしょう。
自治体の粗大ごみ回収ですと1台400~800円ですが、自治体は事業活動に伴って生じたゴミは回収してくれません。賃貸アパートの放置自転車は、不動産賃貸業の事業活動に伴って生じたゴミですので、民間の回収業者に依頼しましょう。
今回は、普段から取引のある業者に回収を依頼いたしました。
撤去後はこんな感じに。だいぶスッキリしました。サドルがボロボロの自転車は、放置ではなく入居者さんの自転車でした。
放置自転車を増やさないために
放置自転車は住環境やアパートの印象を悪くし、入居募集に悪い影響を及ぼします。撤去には時間も労力も費用も掛かります。増やさないようにするには、日ごろの駐輪場の状況管理は欠かせません。
管理会社からの写真付きの巡回点検報告書があれば、駐輪場の状況も撮影してもらうようにし、随時確認するようにしましょう。駐輪シールを活用し、所有者を管理しておくこともお勧めします。
また、退去時にそのまま置いて行ってしまうことも原因のひとつです。退去立会の際に、自転車の残置がないか確認することは、予防に繋がります。