長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
前回の記事では、満室経営のためにオーナーが知っておく知識として、空室になる・空室が長引く4つの大きな原因について紹介しました。
今回の記事では、空室を長引かせずに、早期に満室にするための「8つの施策」について紹介します。
これを徹底することで、空室になったとしても、早めに入居者を決めることができ、満室経営の継続に繋がりますので、空室に悩むオーナーはしっかり把握しておきましょう。
前半は、退去から入居決定までに関する内容、後半は物件のバリューアップに関する内容を書いていますので、最後までお読みいただき、満室経営の参考としてください。
目次
この記事では、空室に悩む賃貸オーナーに、基本的な8つの空室対策について解説しています。ぜひあなたの満室経営実現のためにお役立てください。
退去後の内装工事で余計な費用を掛けずに室内の雰囲気を変えてみる
退去時には、内装の雰囲気を変えるチャンスです。
丁寧に住んでくれていた場合には、クリーニング程度で済むこともありますが、そうでない場合には、クロスの張替えや床の張替え等の工事が必要となることもあります。
そういう時に、漫然と今までと同じ色やデザインとするのではなく、多少変化を付けてみるのもお勧めです。
クロスであれば布目調から石目調に変えてみたり、一面の壁だけ色を変えアクセントにしてみたりするのも良いでしょう。
床材も、CFシートひとつをとっても、木目調や石目調、タイル調やモルタル調などデザインも豊富にあります。CFシートより費用は掛かりますが、フロアタイルに素材を変えて高級感を出してみるというやり方もあります。
平米単価が同じでも、デザインや色が変われば内装の雰囲気も大きく変わります。
雰囲気やデザインが良くなれば、内見時の印象も上がり、空室対策としても効果があります。
商品はメーカーのHPにあるWEBカタログから閲覧できますし、余計な費用を掛けずにできることですので、是非チャレンジしてみてください。
室内の設備を見直す
退去時の内装工事でやっておきたいことは、もうひとつあります。それが設備の見直しです。
特に、10年以上入居していた方が退去した際には、設備が古くなり、不具合が生じていることもあります。また、故障がなくても陳腐化し、入居者のニーズに合わない設備となってしまうこともあります。
古い物件では、インターホンがTVモニター付きでなかったり、キッチンや浴室、洗面台の水栓が2バルブ式であったりすることもよく見かけます。
故障している設備を交換することは、新たな入居者を迎えるためには当然のことですが、故障していなくても、その時点での入居ニーズに合った設備に交換しておくことで、空室対策としては効果が上がります。
また、設備を変えることによって、入居者が快適に暮らせるようになるのであれば、長期間入居してもらえる可能性も高まり、満室経営に繋がるのではないでしょうか。
適正賃料や条件を設定する
空室対策の基本中の基本ともいえる施策が、適正賃料や条件の設定です。
賃料は、近隣地域の広さ・構造・築年数が似ている物件を参考に、ベースラインを設定しますが、募集中の物件だけで判断すると、長期間空室になってしまっている物件の条件も参考値としてしまうため、過去の成約事例もチェックします。
入居条件には、賃料以外にも、初期費用やフリーレント、ADと呼ばれる客付け業者への広告費もあり、それぞれに相場があります。
入居者(特に単身者)は、物件探しの際に、初期費用を重要視する傾向が高まっています。礼金や敷金を0にしたり、フリーレントを付けたり、入居時の費用を安くしたりすることも、近隣物件の動向を確認しながら、検討することをお勧めします。
また、ファミリータイプでは、面積だけでなく間取りでも比較することをお勧めします。
当社の管理物件では、同等の面積の競合物件より少し高めの賃料を設定しても、問い合わせが増えたことがありました。
理由は、競合となる同等の広さの物件は、どれも2部屋しかなく、3部屋あることで希少性が高まったからです。
周辺物件を調べる時には、駅からの距離、面積や築年数の条件で比較しがちですが、間取り(特に部屋数)でも比較してみるのもお勧めです。
周りが同じような間取りで、保有物件に希少性が見られたら、それは賃料を上げるチャンスかもしれません。
私の経験上ですが、なるべく早く高く決めるには、募集開始時は少し高めに設定し、反応を見ながら条件を緩和していく方法が、良いでしょう。
募集広告を工夫する
募集広告の工夫を加えることは、物件の特色や魅力を効果的に伝えることで、多くの人々にアピールできるため、内覧件数を増やすうえでも、とても大切です。
近年の募集広告では、不動産ポータルサイトだけでなく、SNSも欠かせないツールになってきています。
不動産ポータルサイトが、入居者が絞り込んだ条件の中から探す、『待ちの広告』だとすると、SNSは、物件の特色や魅力を写真によって直接伝えることができる『攻めの広告』です。
ターゲットとなるエリアも、前者がその地域で探している人々に限られるのに対し、後者はその限りではなく、エリアを問わず、物件情報を拡散することに効果的です。
当社でもInstagramやFacebookを利用していますが、その効果を実感しています。
また、SNSの募集活動の重要性が高まることによって、物件写真をどう撮るかという事にも工夫が求められるようになってきました。
当社でも、物件写真には力を入れており、撮影日は晴れた日を選び、物件の魅力や特色が伝わり、内見をしてみたいと思ってもらえるような写真を撮るために、アングルや構図にもこだわっています。
そうして撮影した写真と文章で、より魅力的に入居者に伝えるための自社サイト「ガレージ賃貸」も運営しております。
ガレージ賃貸→https://garage-chintai.com/
不動産ポータルサイト、SNSと、インターネットを活用した入居者への募集広告だけでなく、入居者を紹介してくれる客付け業者と呼ばれる不動産会社への広告も欠かせません。
客付け業者が入居者に紹介しやすいように、自社サイトやポータルサイトへの掲載を許可したり、当社で撮影した写真の使用を許可したりしています。
入居者が喜びそうな「条件」をつける
入居者が喜びそうな条件をつけることで、物件の競争力を高め、空室率を下げることに繋がることがあります。初期費用を低くしたりフリーレントを付けたりすることは、3. 適正賃料や条件を設定するで書いた通りですが、「家具・家電付き」や「ペット可」もそうです。
ただ、これに関しては安易に行うのではなく、効果や他への影響について、しっかり調査をしたうえで、採り入れることをお勧めします。
ペット可については、ペット不可だから入居したという方もいます。
途中からペット可にすることで、ペット不可の時に入居した方から不満が出て、その方が退去してしまうことも可能性として考えられます。
家具・家電付については、入居者の引越しの費用が安く済むので良いだろうと考えがちですが、既に家具を持っている方には不要ですし、前の入居者が使ったものを使用することに抵抗がある方もいます。
新品であっても、その方の生活スタイルに合わないとして、不要と判断されることもあります。
入居申し込みの際に、「家具家電は不要なんだけれども・・・」と相談を受けた場合に、廃棄するのか、他の部屋に移動するのか、導入前に対応策も用意しておくことをお勧めします。
いずれにしても、これらの条件を採用する場合には、様々な視点から考えて、慎重に行ってください。
内見時の「印象を上げる」工夫としてのホームステージング
ホームステージングとは、インテリアや家具、小物などを使って内装を装飾する手法です。この手法を使うことで、入居者が内見時に入居後の生活をよりイメージしやすくなります。
日本ホームステージング協会がまとめた「ホームステージング白書2022」によると、「ホームステージング実施前と比較したホームステージングの影響」の調査では、内覧者数については、大幅に増えたが21%、少し増えたが48%。成約までの期間については、大幅に短くなったが34%、少し短くなったが45%と、データを見る限り、一定の効果あるようです。
ただ、費用が3万円~10万円と、募集対策費用としては高額ですので、導入にあたっては、他の対策との費用対効果を比較し、優先順位を決めて検討することをお勧めします。
リフォームやリノベーションを行う
物件の外観や内装、設備が古くなってしまっている場合は、リフォームやリノベーションを行うことで、設備も新しくなり、物件の雰囲気も変わり、新たな魅力を加えることができます。
仕様を変えずに、古くなった建材や設備を新しくするのがリフォームで、リノベーションとは、無垢板フローリングにしたり、壁にタイルを貼ったり、キッチンの仕様を変えたり、デザインや使いやすさに、新しい価値を加える工事のことを言います。
リノベーションでは、間取りを変えたり、収納を増やしたり、その時のニーズに合った室内に変更できますし、ターゲットを変えることも可能です。
また、デザイン性を高めることで、近隣エリアの他の物件との差別化を図ることができ、賃料を上げて、空室率を下げるという、2つの効果も期待できます。
床を張り替える工事を行う場合には、床下の排水管や給水管を交換するチャンスでもあります。詰まりや漏水等大きな事故が発生しやすい場所ですので、一新することで入居後のトラブルやクレーム軽減、それに掛かるコストの削減にも繋がります。
ただし、内容によっては数百万円規模の工事となりますので、それによって得られる効果も検証しながら進めることをお勧めします。
検証の方法としては、施工費を、アップした賃料によって何年(何カ月)で回収できるか(施工費÷アップした賃料)という計算をしがちですが、「施工費を投下資本とし、それが何パーセントで運用できるか」、または、「施工費と、工事によって上がる物件の価値との比較」という、2つの検証方法もあります。
検証については、専門的な視点も必要となりますので、管理会社など経験豊富なプロに相談することをお勧めします。
共用部の管理や設備の強化
物件のバリューアップにもなり、空室対策にもなるもう一つの対策が、共用部の管理や設備の強化です。
管理とは、定期的に行う清掃やメンテナンスのことをいい、物件の清潔感や、良好な生活環境を維持することで、内見時の印象もよくなりますし、退去の抑止にも効果がありますので大切です。
定期清掃は、1回数千円です。月1~2回は実施することをお勧めします。
また、費用は掛かりますが、宅配ボックスや無料インターネットサービス、駐輪スペースの設置や整備をすることで、入居者の利便性を高めることができます。
駐輪スペースは、放置自転車等のリスクもありますので、駐輪シールの準備や番号での管理体制を整える必要もありますが、1台200円~500円程の費用を、入居者から徴収しても良いでしょう。
宅配ボックスや無料インターネットサービスは、(株)リクルート21C.住環境研究会が発表している、「入居者ニーズと意識調査」でも、必要度、満足度の高い設備に挙がっています。
導入に数十万円の費用が掛かり、ランニングコストも発生しますので、費用対効果も検証し、導入の検討をしてみても良いでしょう。
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