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健全な賃貸経営の羅針盤!初心者でもわかるNOI(純収益)の基本

健全な賃貸経営の羅針盤!初心者でもわかるNOI(純収益)の基本

不動産投資を始めてみようと思っても、どういう物件を購入したらいいのか、悩みますね。
ポータルサイトを見ても似たような物件ばかりで、ひと通り目を通しても、結局「いい物件がないなぁ」で終わってしまうこともよくあることです。

「利回りが高い!」と思ってみたら、地方の駅から遠い築古物件だったり、条件がいいなと思ったら、利回りが低かったりで、ピンとくる物件に出会えず、2年も3年も始められないままでいるという方も多いと思います。

期待もあるけれど、失敗するのではないかという不安も大きい不動産投資ですが、物件の見極め方さえ知っておけば、失敗するリスクも軽減できます。

この記事では、物件選びの際に、私も使っている指標のひとつ「NOI」について解説します。NOIは、物件選びの指標としてだけでなく、購入後の運用状況を知るためにも使う、重要な指標ですので、この機会に理解を深めましょう。

この記事のポイント

  • NOIとはNet Operating Incomeの略で、その不動産から得られる純収益のこと
  • 空室による損失を考慮した数値のため、その物件の実際の収益性を測ることができる
  • NOIは購入の際の物件の比較や、購入後の賃貸経営状況の改善にも利用できる

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成功するオーナーが注目する「NOI」とは?

「NOI」は「エヌ・オー・アイ」と読みます。Net Operating Incomeの略で、不動産から得られる純収益のことで、「その物件が本当に稼いでいる利益」を表す数字です。

例えば、「高い家賃が取れるいい物件だろう」と思っても、空室率が高かったり、修繕費などの経費が高額だったりして、それらを差し引くと、手元に残るお金が思ったより少ないということもあります。収入が多くても、利益が少ないというケースです。

NOIは、家賃収入から空室による損失と運営費を差し引いた、「実際に残る利益」を表した数字です。

利回りの計算にしても、不動産投資初心者の方の多くは、家賃と物件価格で計算した「表面利回り」で比較しがちですが、本来の物件の実力を測るには、家賃だけではなく、そこから空室の損失や運営経費を差し引いた、NOIで計算した「NOI利回り」で比較すべきです。

NOIを使うことで、「物件の本当の収益力」が客観的にわかるため、収益性の高い物件を選ぶことができ、購入後も、健全な経営判断ができるようになります。

NOIの計算の仕方

NOIの計算はとてもシンプルです。

NOI = 年間の家賃収入− 空室による損失 − 運営費

計算例

  • 年間家賃収入:1,000万円
  • 空室や未回収による損失:0円
  • 運営費:400万円

NOI=1,000万円−400万円=600万円
つまり、この物件は年間600万円の純収益を生み出している、ということです。

運営費に含まれる主な項目

  • 管理手数料
  • 固定資産税・都市計画税、火災保険料
  • 共用部の電気代・清掃費、法定点検費用 など

NOIの計算には、減価償却費やローンの利息は含めません

他の記事でも紹介しました、キャッシュフローツリーを使うと、ひと目でわかります。

NOIを理解するためのキャッシュフローツリー表

GPI(総潜在収入)とは、その物件で見込める最大の賃料収入です。

物件購入の時に役立つNOIを用いたシミュレーション方法

NOIはその物件の稼ぐ力を測る指標です。この指標は、保有中の物件の収益力の推移を測り、事業収益性を改善するためにも役立ちますが、購入希望物件の収益性を測り、購入してもよいのか、購入しない方が良いかの判断材料にもなります。

例えば、以下のような、入居者がいるオーナーチェンジの区分マンションがあったとします。

  • 年間家賃収入 84万円(月額7万円)
  • 運営費28万円

入居中のため空室による損失は0円とすると、NOIは56万円です。

注意してほしいのは、このNOIは入居者が退去しない前提の数値であるということです。購入後にすぐに退去されることもありますし、すぐでなくても、退去はいつかは発生します。

その物件の本当の収益力を測るのであれば、退去されて後に新規募集した場合の賃料や、入居が決まるまでの空室期間を想定したNOIを計算しておくとよいでしょう。

例:購入後に退去され、次の募集家賃は月額7.5万円(年間家賃収入90万円)に変更。ちょっと高めにしたので、空室期間は2ヶ月位になりそうだけど、入居してくれたら4年は住んでくれそう。

空室率の計算には、いくつか方法がありますが、空室日数から算出する、稼働日数をベースにした空室率を利用することをお勧めします。

稼働日数をベースにした空室率の計算式
年間の空室数×空室日数/(総戸数×365日)×100

この例での空室率を計算すると、60日÷(1戸×365日)×100=16.44%

4年間住んでくれれば、2~4年目は空室率0%です。入居募集時の空室期間が60日、平均入居期間4年とするのであれば、毎年の空室率は4.11%と想定することもできます。

60日÷(1戸×365日×4年)×100=4.11%

このシミュレーションでのNOIは、次の通りです。

  • 想定年間家賃収入:90万円
  • 空室による損失:36,990円
  • 運営費:28万円
  • NOI:58万3,010円

賃料が上げられないのであれば、

  • 想定年間家賃収入:84万円
  • 空室による損失:34,524円
  • 運営費:28万円
  • NOI:52万5,476円

NOIを用いた利回り計算と表面利回りとの違い

投資用不動産を評価する指標として、利回りがありますが、不動産投資で用いられる利回りには、いくつか種類があります。物件の収益性を表すものや投資額の運用リターンを表すもの、その年のリターンや投資期間のリターンを表すものなど様々です。

ここでは、不動産投資初心者の方が目にする機会の多い「表面利回り」と「実質利回り」、そして今回解説しているNOIを用いた「NOI利回り」の違いについて見てみましょう。

表面利回り

ポータルサイトや広告で表示されているのが表面利回りです。表面利回りは、物件価格に対する家賃収入の割合で、次の様に計算します。

表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

目にする機会が一番多い利回りですが、運営費や空室期間が反映されていませんので、実際の投資効率を測ることはできません。

実質利回り

実質利回りは、年間家賃収入から運営費を控除し、物件価格には購入諸経費も含めて計算します。

実質利回り=(年間家賃収入-運営経費)÷(物件価格+購入諸費用)×100

運営経費や購入諸経費を反映したもので、表面利回りよりも、実態に近い利回りです。現金購入の場合には、投下資本利回りともいえます。

NOI利回り

NOI利回りは、年間家賃収入から運営費と空室による損失を控除したNOIと、購入諸経費を物件価格に加算した額を用いて計算します。

NOI利回り={年間家賃収入×(1-空室率)-運営経費}÷(物件価格+購入諸費用)×100

実質利回りに空室率も反映して計算しますので、空室リスクも考慮した、より実態に近い利回りといえます。

表面利回りが非常に高い物件でも、空室率も非常に高ければ、NOI利回りは低く出ます。空室率は地域や物件の種類によっても異なりますが、それを反映し計算するため、地域や種類の異なる物件を比較しやすくなります。

NOIを活用し、健全な賃貸経営を!

賃貸オーナーが陥りやすいのが、「感覚的な賃貸経営」です。感覚的な賃貸経営を行っていると、収益が下がったときに、原因が家賃の下落にあるのか空室の長期化にあるのか、経費の増加にあるのか、原因を特定することが困難です。

NOIを定期的に算出していれば、数字をもとに状況を把握できますので、収益の変化があっても、原因の特定がしやすく改善策を検討できますし、事前に対策も講じられるようになります。

NOIを記録しておくことで、過去の変化を把握することができます。そうすることで、その先の中長期的な視点での経営計画の策定にも役立ちます。

NOIを上げるための具体的な方法

NOIは、次の2つの要因により上昇します。

  1. 家賃収入の増加
  2. 運営費の削減

簡単に言うと、収入を増やすか経費を減らすかです。では、それぞれの具体例を見てみましょう。

家賃収入の増加

家賃収入を増やすことは、そう簡単ではありません。入居中の場合には、賃借人の合意がなければ上げることは難しく、入居者募集時に上げることはできますが、相場より高めに設定すると、空室期間が長引き、結果としてその年の年間賃料が下がってしまうこともあります。

賃料を上げても短い空室期間で入居を決めるには、家賃査定とリーシングに工夫が必要です。信頼できてリーシング力のある賃貸管理会社を探し、協力できる体制を整えておきましょう。また、退去後の原状回復工事を短期間で納めることも、家賃収入を上げる要因となります。退去立会と同時に原状回復工事を進められる業者との連携も必要です。

原状回復から入居者募集までは、賃貸管理会社に委託すれば一元的に行ってくれます。

運営費の削減

運営費を減らすことも、NOIを上げることに繋がります。

運営費には、物件の維持に関する費用(定期清掃・メンテナンス費用・修繕費・管理費など)、募集に関する費用(広告費、フリーレントなど)、税金(固定資産税・都市計画税)の3つに分類されます。

このうちオーナーの意志で削減できるのは維持に関する費用と、募集に関する費用です。

募集に関する費用の広告費やフリーレントは、削りやすい項目ですが削減する際には注意が必要です。これらは地域の相場もありますので、実施する前には、必ず近隣類似物件の募集条件との比較を行いましょう。減らすことで反響が鈍くなり、かえって空室期間が長引いてしまうこともあります。

維持に関する費用は、削減することで、生活環境の劣化につながる恐れもあります。定期的に実施するものについては、費用が高額であったり、実施頻度が過剰であったりでなければ、見直しには慎重に行うことをお勧めします。

当社青山物産で行っている、NOIを上げるための業務を紹介してる資料を動画にしました。当社がNOIを上げるために、どのようなことを実践しているかをまとめています。

まとめ

NOIについて解説しました。NOIは空室による損失も考慮した、経営実態をとらえた数字です。表面利回りが同じ2物件でも、空室による損失を考慮し、NOI利回りで比べると、差が出ることも珍しくありません。最終的な決断は、NOI利回りも算出して判断することをお勧めします。

賃貸経営を始めてからも、収益性が下がったときの改善点の把握に役立ちますし、過去の実績を蓄積すれば、中長期的な経営計画を立てる際にも役に立ちます。

NOIを身近にし、感覚ではなくデータで判断する習慣をつけることで、長く健全な賃貸不動産経営を実現しましょう。

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