長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
不動産投資を始めるにあたって、良い管理会社をパートナーに選ぶことはとても重要です。同じように重要なのが、管理会社との関わり方である管理委託形態(管理システム)の選択。
実はこの管理委託形態選びは、管理会社選びの前に行っておくことですが、意外と見落とされがちですので、今回は、管理会社選びの前に知っておくべき、管理システムの違いについて、解説します。
管理会社が提供する2つの管理システム
管理会社が提供する管理システムには、大きく分けて「一般管理委託」と「一括借上(サブリース)」の2種類があります。この2つは、入居者募集、家賃集金&送金、退去立会、入居時のクレーム対応と、業務内容には大きな違いはありませんが、契約形態や滞納時や空室時の家賃の取り扱いなどにおいて、いくつか異なる点もあります。
一般管理委託とは
一般管理業務とは、オーナーが管理会社に管理業務を委託し、管理会社が契約に基づいた管理業務を遂行する管理形態です。
オーナーが貸主、入居者が借主となり、管理会社は委任契約に基づいて業務を行うサポート役です。
入居者の支払う賃料は、管理会社が受領し、管理手数料を差し引いてオーナーに送金します。
管理会社の利益は管理業務委託費であり、入居者が支払う賃料等の5%~7%が一般的です。入居中の居室の賃料に対して発生しますので、空室の際には、管理業務委託費は発生しません。
管理に掛かる費用も一括借上(サブリース)契約に比べて抑えられ、新規の募集条件など、オーナーの裁量によって決められることが多いのが魅力です。空室期間は賃料が得られないという不安はありますが、空室率の低い地域では、年間でみると賃料収入が一括借上(サブリース)契約より高くなることもあります。
・オーナーが賃貸経営状況を把握しやすい
・入居時の滞納保証はあるが、空室時の家賃保証はない
・賃料や入居募集条件は、オーナーの意思が反映される(上げることも可能)
・管理会社に不満がある場合は、解約しやすい(委任契約のためいつでも解除できる)
・空室の時に賃料保証がない(滞納時の賃料保証はある)
・空室期間の長短は、管理会社の入居者募集力に左右される
一括借上管理(サブリース管理)とは
一括借上げとは、オーナーが管理会社に賃貸し、管理会社が賃貸人として入居者に転貸するシステムです。
オーナーにとっての借主は管理会社で、入居者にとっての貸主も、管理会社になります。
入居者の支払う賃料は、管理会社が貸主として受領し、管理会社は一括借上げ契約で賃料として定めた額を、オーナーに送金します。
管理会社の利益は、入居者から受け取る賃料と、オーナーへ支払う賃料の差額です。オーナーへ支払う賃料は、管理会社が査定した入居者募集賃料(更新時には入居賃料)の80%~90%が一般的です。
空室を気にすることなく、毎月定められた収入を得られるのが魅力です。ただし、空室期間の影響を全く受けないかというと、そういうことではなく、契約に定められた年数ごとに借上賃料の見直しがあり、空室期間が長いと減額されてしまうこともあります。
オーナーにとっては裁量の自由度は低く、管理会社の募集力や運営能力によって事業収支が変わることもあります。
・空室時でも家賃収入がある
・賃貸経営をすべてお任せできる
・年間の収支計画にブレが少ない。
・賃料や入居募集条件は、オーナーの意思が反映されない
・更新ごとに借上げ賃料が見直される(減額される)ことがある
・入居状況が把握しにくい
・貸主は管理会社であっても、原状回復費用(貸主負担分)や修繕費用は所有者の負担
・管理会社に不満があっても、解約が難しい(賃貸借契約のため借地借家法が適用される)
まとめ
上述のように、一般管理委託と一括借上は、管理会社に「入居者募集」「契約手続き」「家賃管理」「退去立会」「クレーム受付対応」といった業務を依頼するということはどちらも同じですが、法律上の契約形態は全くの別物です。
そのため、賃貸経営をしていくなかで、管理会社とのトラブルが発生したり、管理会社の業務に何かしらの不満が生じ、管理会社の変更を考えた場合の対処方法も大きく異なってしまいます。
管理会社や管理システムは、施工会社や購入時の不動産会社のお勧めによって決めてしまうことが多いと思います。しかしながら、管理会社の選択、管理システムの選択は、賃貸経営がどういう方向に進んでいくかを決定づける、とても重要なことです。
ただ紹介を受けたからということではなく、中長期的に考えて、ご自身にあった管理システムは何か、ご自身にあった管理会社はどこかを、しっかり調べ、選んでいくことが、賃貸不動産経営者としての第一歩ではないでしょうか。
空室率も、一般管理業務委託か、一括借上げ(サブリース)管理かを選ぶ指標になります。
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