長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
インターネットでの入居者募集が主流になってきた現代では、賃貸の入居者募集も広く募集することが求められ、依頼する不動産会社が、インターネットを活用した募集方法に精通しているかどうかで入居率が変わり、以前は強みであった、『地元』であることの優位性が薄れてきています。
ですが、そういった現代でも、インターネットだけに頼ってしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあります。
弊社でも、新規に入居者募集をご依頼いただいた際には、特に新築物件やはじめて賃貸に出す物件の家賃査定を行う時には、地元の業者廻りをし、地元ならではの肌感覚での市場動向を調査するようにしています。今回は、地元の業者廻りをすることで得られた経験について紹介します。
地元業者を廻って活きた情報をゲット
地元の業者は、活きた情報を知っています。
「最初は○○駅○○円以内の条件で探すんだけど、その条件に合う物件が見つからない人が流れてくる」
「この層だと、○○円を超えると、いくら内装が良くても決まらない」
「相場は○○円だけど、新築なら○○円まで行ける」
など、インターネットの相場情報や成約事例だけでは判断できない、細やかな情報を得ることができます。
こういう情報を加味して設定した賃料は、入居者の反応も加味した『活きた賃料』といえるでしょう。
最寄り駅と最寄りターミナル駅とで異なる感覚
一概に「地元の業者」といっても、最寄り駅と最寄りのターミナル駅の業者では、同じ内容の質問をしても、回答が180度異なる場合があります。
先日も、45㎡程の2DKをリノベーションして賃貸する提案をするために、最寄りの業者と最寄りターミナル駅の業者にヒアリングしましたが、最寄り駅の業者は、『ファミリー層が多いので2部屋確保は必須 賃料は9万円を超えると難しい』と言い、最寄りターミナル駅の業者は、『リビング広めの1LDKが単身ウケして集客しやすく、賃料は11万円くらいは可能』と言い、それぞれ5社ずつ聞いて回りましたが、5対5で、全く異なる結果になったのは驚きでした。
同じ物件でも、ターゲットとして見ている世帯層や年齢層の違いによって、勧められるプランも賃料帯も異なるということです。
ヒアリングの結果を基に、「どちらが長く住んでくれそうか」「入居期間は気にせず、高く貸せる方がいいのか」等、それ以外の要因も踏まえて最終的に、どういうプランにするのかは、オーナーの判断によるところですが、よりその地域の市場に即した現実的な判断材料を得るには、地元業者へのヒアリングは欠かせません。
新築と中古の賃料査定の注意点
当然ですが、新築と中古では、ターゲットや賃料相場が異なります。
新築物件の賃料査定を行う時にやりがちなのが、過去の成約事例や周辺相場だけで判断してしまうことです。
新築物件は、成約事例など指標となる事例自体が少ないため、その少ない事例で判断したり、築2~3年の中古物件の成約事例も参考にして査定をしがちですが、新築でも、募集時期や周辺地域での競合となる新築物件の数によって成約賃料は異なりますし、また、築2~3年も含めて査定の参考にしても、それは(築浅)中古市場の相場になり、新築の家賃査定の決定的な要素とはなりません。
新築はあくまでも別物と考え、インターネットの情報だけで家賃査定をせず、地元業者のヒアリング結果も基にした複合的な視点での査定が重要です。
まとめ
新規で賃貸募集を始める際には、最初の募集賃料が、その後の収支計画の基準となります。
インターネットで調べた成約事例を参考にした家賃査定だけでなく、地元業者の意見も参考にし、複合的な視点での『活きた賃料』を導き出す作業が大切になります。
新規の入居者が退去した後の、再募集についても、前回の募集では苦労したから、今回はひとまず同じ賃料で募集しようなどといったあいまいな基準で始めると、あっという間に成約してしまって、もう少し賃料上げても良かったんじゃないかなんて後悔することも稀ではありません。
常に業者廻りをすることは大変ですが、新規に賃貸募集を始める時や、再募集でも一定期間ごとに行い、『活きた賃料』を見直すことで、収支計画が改善されることもありますので、定期的に行うことをお勧めします。
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