長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
今までの入居者に感謝の気持ちとともに別れを告げ、次の入居者を迎い入れる準備のスタートともいえる退去立会い。
今回は、退去立会いを行う上で心がけておきたいポイントを紹介します。
目次
住んだ人にしか分からない情報を聞くチャンスです
退去立ち会いは、荷物をすべて撤去し、何もない状態で入居者と室内状況を確認します。そこでは、入居者にしか分からない、いろいろな情報を聞くチャンスです。
近隣からの話し声や生活音はどうかとか、周辺の夜中の状況はどうかとか、実際に住んでいないと分からない、細かい情報も知ることができます。
先日の退去立会いでは、風が強い日は近隣の中学校から校庭の砂が飛んできて、バルコニーに溜まるという話を聞くことができました。
バルコニーに砂が溜まるということは、洗濯物にも砂がつくということ。オーナーにも伝え、室内干し用のワイヤーを設置することにしました。
ちょっとしたことですが、入居者が女性の場合、退去を考える要因にもなりかねません。長く住んでもらうことを考えると、良い投資ではないかと思います。
トラブル回避のために写真で状況を保管しておこう
現況保管は大切です。当社では、退去立会い後に当日の状況を写真に撮っておくようにしています。退去立会では、原状回復の内容と入居者の費用負担分を明確にし、その場で入居者に説明し、納得していただいた上で、サインをいただくようにしています。
不要なトラブルを避けるための対策ですが、それでも、後日、内容と負担額に納得がいかないという連絡をいただくことがあります。話し合いでは決着がつかず、司法の手を借りるしか方法がないという時には、退去時の状況を第三者に伝える必要がありますが、原状回復工事を行った後では、状況を伝えるのは不可能です。
そういう時にも対応できるよう、退去時の状況を写真に撮っておくことは、とても大切です。
頻繁に起こることではありませんが、起こらないことでもありませんので、心がけておきましょう。
目の届かないところもしっかりチェック
退去立会いは、真剣勝負です。賃貸借契約書と「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて、入居者が負担すべき箇所と費用をその場で確認し、納得していただきます。
後日発見した入居者負担分も、もちろん請求することは可能ですが、納得していただけなかったり、支払っていただけなかったりすることもあります。
そういう漏れの無いよう、立会時には細かい部分までしっかりチェックしましょう。
見落としがちなのは、収納のドアの裏の傷、襖の裏の破れ、目線より上にある収納棚の表面の汚れや膨らみ、洗濯防水パンのエルボーの紛失、洗濯機用水栓のニップルの紛失等、目の届きにくいところや、小さくてうっかり見落としてしまうところです。
一覧表などを作成し、見落としが無いよう気を付けましょう。
チェックするのは室内だけではない
退去立会は、室内の確認だけでは終わりません。よくあるのが、自転車の置き忘れです。
放置自転車が増えると、他の入居者の駐輪スペースが減りますし、見た目もよくありません。必ず入居者に確認しましょう。
また、粗大ごみを出していく入居者もいます。粗大ごみは引き取りまでに数日かかるため、明渡し後、暫くは放置されることになります。回収されないでそのままになってしまうことが無いよう、収集日と受付番号を控えておきましょう。
退去立会いは集中力が命~こんな入居者がいた~
退去立会の時には、集中力を切らしてはいけないなと認識させられた、特徴のある入居者の事例を紹介します。
個人で工務店を経営している方が、夫婦で住んでいた部屋での退去立会いでの経験です。
なんとなく違和感のある室内でした。壁の雰囲気とかが不自然なのです。
『あれ?自分で直しちゃった??』と思い、ご主人に聞いても、しらを切る感じで、特に汚したり傷を付けたりしたことはないと言い切っていました。
でも、、、壁をよく見てみるとクロスを部分的に切り張りしている箇所がいくつもあり、もっとよく観察してみると、その下地のボードも穴を塞いだ形跡が見られます。当然入居前にはなかったものです。
穴を塞いだ跡は、キッチンシンクにもあり、ひとつひとつを入居前の写真と比べて確認して、やっと自分で直したことを認めたのですが、どうすればこんなに穴だらけになるんだと、暮らし方を疑ってしまう程の傷でした。
いくら自分で直そうとも、契約書では、原状回復工事は貸主が指定した業者で行うことになっていますし、直し方も仕上がりに不足のあるものでしたので、認めませんでした。
まとめ
様々な暮らし方をする入居者と向き合わなければならず、金銭的なことも絡む退去立会は、トラブルに発展することも少なくありませんが、写真による状況保存やその場で内容を確認し合いサインしてもらうことで、回避できることもあります。
また、入居中に気づいたことのヒアリングは、新しい入居者が快適に暮らすためのヒントを得る機会です。
入居者も少なからず緊張している場でもありますが、いいコミュニケーションを取ることができれば、トラブル回避にもつながり、有益な情報を引き出すこともできるはずです。
細かい視点と豊富な経験が求められる重要な業務ですので、管理会社の担当者とも話し合いながら、進めていきましょう。
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