長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
たまに目にする、見た目がぼろいアパートやマンション。錆だらけの階段、ヒビが入っていたり苔に彩られた壁、塗装の剥げた廊下や階段の手すり。こういった建物には、決まっていくつかの空き部屋が見られます。
内覧時に建物がボロければ、入居したいという気持ちも無くなってしまうのは当然のことです。
オーナーの、良好な賃貸経営をサポートする立場にある管理会社としては、日々のメンテナンスや数年おきに行う修繕工事の提案も欠かせない業務です。
今回は、管理させていただいている物件のオーナーに大規模修繕計画の提案をし、実施するまでの模様を紹介いたします。
目次
巡回時に見えてくる大規模修繕の予兆。そろそろ大規模修繕工事の時期かなと思ったら
大規模修繕工事の実施時期や内容については、オーナーも気にされていました。ただ、大規模修繕工事は、実施時期が早すぎると不要な修繕となり、周期が早まることで、次の大規模修繕工事の資金計画にも影響が出ます。
足場を組む必要がある工事は、費用の節約も考えて、まとめて行いたいもの。大きな出費となるため、実施時期の選定には、慎重になるのは当然のことです。
オーナーと管理会社(当社)とで、そういう話が日頃からできていたこともあり、巡回時には、共用部分の状態は、より注意してみるようにしていました。
そんな中、発見したのが、この外壁の剥離。
タイルの浮きと剥がれが見られ、鉄筋も露出しています。
タイルが落下し、人や車に当たる事故が発生する可能性が高く、他人に損害を与えるリスクが高い劣化です。
他にも、白華現象や、小規模な爆裂、シーリングの劣化等は把握していましたが、この発見が、実施決断の後押しとなりました。
■シーリングの劣化
■壁の爆裂
■タイルのひび割れと白華現象
提携している工務店と一緒に、マンションの劣化診断と現況調査
工事を実施することは決まったため、工事内容の選定を行います。
それには、まず、劣化箇所の特定が必要です。
劣化診断は、大規模修繕工事の実績があり、当社からも工事を依頼したことのある業者に依頼しました。
目視では分からない、タイルの浮きをチェックする、打診棒を使った調査の時の様子。
階段・廊下・外壁・天井・屋上と、見落としが無いよう、隅々までチェックし、劣化状況を記録していきます。
見落としがあると、工事内容に漏れが出ることになり、見積金額にも影響が出るため、時間をかけて、しっかり確認いたします。
この時に、立面図や平面図があると、より精度の高い資料を通ることができ、見積金額にも大きなブレがなくなります。
劣化診断から提案書と見積書を作成し、大規模修繕工事の内容を提案
劣化診断から作成した調査報告書を抜粋したものです。
冊子のものを横に並べています。
こちらの報告書をもとに、オーナーにも立ち会っていただき、実際に状況を確認の上、工事内容を詰めていきます。
見積も提出していますので、どの工事にいくらかかるかがひと目で分かり、実施するかどうかの判断にも役立ちます。
優先順位を定めて、実施するかどうかの判断が下せますので、調査報告書と見積書を手元に、現状を確認していく作業は、とても大事なことです。
素人では見落としがちでも、豊富な経験から、予測と推測ができるプロだからこそ発見できる症状もあります。
今回は無料で実施してもらいましたが、多少費用が発生したとしても、工事前には必ず実施しておきたい作業です。
提案書・見積書・現況確認によって、実施する工事が決まりました。
- 外壁タイルの張替えと補修
- 外壁のひび割れ・欠損・爆裂補修
- 外壁・玄関扉廻り・窓サッシ廻りの目地補修
- 鉄部塗装
- 屋上・ベランダのウレタン防水
- 共用廊下・階段のウレタン防水と長尺シート張り
3~4ヶ月間の長期に渡る工事内容です。
実施にあたっての注意点や気を付けたこと
防水工事は、施工から乾燥までを、晴れそうな期間を見計らって行います。
そのため、雨が降らず乾燥もしやすい、春または秋に行うのが一般的ですが、ちょうどその時期は、窓を開けて室内に風を取り込んだり、洗濯物も外に干したりが心地よい季節になりいます。
その時期に、ベランダの利用を禁止され、窓を閉め切って生活することは、数日ではあっても、入居者はストレスを感じます。
『シンナーに臭いが部屋に入った』、『いつになったら洗濯物を干せるようになるんだ』、『ベランダに置いてあった植木鉢をどこに置けばいいんだ』といったご質問やクレームをいただいたこともあります。
ストレスをゼロにすることはできないまでも、工事についてご理解いただくためにも、スケジュールと施工期間中の注意点は、事前に丁寧に伝え、コミュニケーションを取っておくと良いでしょう。
工事開始の通知は、入居者にも準備をしていただく期間も踏まえると、2ヶ月前には通知をしておくことが望ましいといえます。
また、工事期間中も、現地にコミュニケーションボードを設置し、一週間の工事内容や、洗濯物干しが可能かどうか、その都度通知できるようにしておきました。
今回の工事では、駐車場の一部に足場を組むことになり、足場と車との距離が殆どありませんでした。
入居者へのケアはもちろんですが、車にも傷をつけたりすることが無いよう作業員には最新の注意を払って作業を実施してもらう事と、何かしら発生した場合には、担当者とすぐに連絡が取れるよう、事前の打ち合わせは入念に行いました。
施工完了と完了時の書類
4カ月間事故もなく、無事に大規模修繕工事を終えることができました。
ビフォーアフターの写真です。
■共用廊下
工事内容:ウレタン防水と長尺シート張り
■廊下の爆裂補修
完了後は、オーナー、施工会社、当社の三者で立ち合い、完了完了検査を行いました。
完了後に施工会社からオーナーに渡される書類は、全体の報告書と防水工事の保証書です。
報告書は、各補修工事の作業工程を写真付きで一覧にまとめています。
その一部を紹介します。
■外壁のタイル張替え
■爆裂の補修
■屋上のウレタン防水
■外壁タイル補修個所の見取り図
今回の外壁補修工事の箇所と補修内容を図面にして、ひと目で分かるようにまとめています。
防水工事については保証書も発行されます。
これがあることで、今回行った工事内容を写真で見返すことができ、次の工事の参考資料となります。
費用も時間もかかる大規模修繕工事。
簡単にまとめてみましたが、そろそろ考えなくちゃいけないなぁとお悩みのオーナーの、参考となれば幸いです。
より詳しく聞いたみたいという方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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