長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
就学や就職、転職などで、人が移動する時期である1月から3月の3ケ月間は、賃貸市場では繁忙期といわれています。引っ越しシーズンである繁忙期は、賃貸需要が増える時期ではありますが、言い換えると、退去する方も増える時期です。
年越しまでは満室経営ができていた賃貸物件であっても、年明けとともに退去が続くという事態も珍しいことではありません。退去の連絡を受け取るのはつらいけれど、この時期であれば、新規の入居募集で、賃料アップを試みるチャンスともいえるでしょう。
最近では、家賃の値上げに関するニュースを見かけることが増えています。「うちの物件も賃料の値上げができるのではないか?」と迷われているオーナー様も多いのではないでしょうか。
今回は、繁忙期にかかってしまってはいますが、この時期に退去の連絡を受け取って、新たに入居者募集を行うことになってしまった賃貸オーナーに、賃料アップを図るために行っておきたい対策を伝授します。
- 賃料アップを検討するときは、早めに管理会社や仲介会社に相談しよう
- 相場や市場動向のデータに基づかない賃料アップは空室率が悪化する危険もあるので要注意
- 早めにポータルサイトには掲載して、値上げした賃料の反響を確認しよう
目次
管理会社や仲介会社に賃料アップの早めの相談
賃料アップを試みるには、入居者募集を行う管理会社や仲介会社に、早めに相談することをお勧めします。
入居者からの解約の連絡は、多くは退去の1ヵ月前に行われます。連絡は、管理会社に業務委託をしていれば管理会社に、自主管理であれば、賃貸オーナーに連絡があります。
解約通知を受け取ってからは、市場調査→募集条件の決定→募集図面の作成→募集開始という段取りですが、中には、募集条件についてオーナーに相談せず、同じ条件で募集を行ってしまう管理会社もありますので、退去の連絡があったときは、賃料アップを検討していることを、早めに伝えるようにしましょう。
また、オーナー自身でも、ポータルサイトを見るなどし、自身の所有する物件と類似する物件の募集条件を見比べて、おおよその相場観を養っておくと、管理会社や仲介会社と行う家賃設定のやり取りも、スムーズに進められます。
募集家賃の値上げを考えているオーナー様は、「値上げが可能か」や「家賃設定はいくらが適切か」などについて、仲介会社に早めに相談することが重要です。
この時期は、退去だけでなく、更新を迎える方も多い時期です。賃料アップは、入居者募集時だけでなく、契約更新時にも行いやすいです。
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」でも、家賃の増減請求について、「近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合」も請求可能な要件として例示しています。
実際に値上げをするには、双方の合意が必要にはなりますが、全体的な賃料が上がっている状況では、過去の賃料水準で契約している入居者には、更新の機会に、賃料値上げの交渉をしてみるのも良いでしょう。
更新の手続きは、管理会社や仲介会社で行いますが、入居者募集同様、賃貸オーナーに相談せずに、同条件で更新手続きを行ってしまう不動産会社も中にはいます。
そういう事にならないよう、事前に賃料アップの意思を伝えておくことが重要です。
家賃の値上げはデータを提示して行うことが鉄則
賃料アップを狙う時には、物件が所在するエリアの賃料相場や募集動向を把握した上で、値上げ額をどの位に設定するか判断することが大切です。
家賃相場は、エリアや物件のタイプによって異なります。単身向けタイプでも、18㎡前後のワンルームと25㎡や30㎡前後の1DKタイプでは異なりますし、ファミリータイプでも、専有面積や部屋数によって異なります。
値上げをすることにとらわれすぎて、相場に合わない賃料設定をしてしまうと、新規募集ではなかなか入居申し込みが入らず、結果として空室率の上昇を招くことになり、値上げせず、早めに入居者を決めていた方が収益性は高かったかもしれないという事態になることも考えられます。
更新時でも同様で、値上げを打診したことが原因で退去されてしまい、新規募集時も値上げした家賃では決まらず、結果としては同じ水準での賃料で再募集をすることになり、値上げせずに更新していた方が収益性は高かったということもあります。
そのような事態に陥らないためにも、家賃の値上げを検討する際には、仲介会社や管理会社に相談し、データやアドバイスに基づいて、慎重に判断することが重要です。
当社では、周辺の類似物件の比較した、コンペア式家賃査定をAIで行う家賃査定書や、アットホームでの掲載事例から、平均値を割り出す家賃査定など、様々な視点で家賃査定を行っておりますので、賃料アップを検討していてお悩みのオーナー様は、お気軽にご相談下さい。
物件情報はポータルサイトに早めに掲載し、反響状況を確かめる
家賃設定が決まったら新規募集の開始です。
ポータルサイトへの掲載は、物件が空室になり内見が可能となる日の2週間前には行うことをお勧めしています。
内見ができないのにポータルサイトへ掲載しても意味があるのかというご意見もあるかもしれませんが、ポータルサイトへ掲載することで、問い合わせ状況等、反響がどれ位あるのかを確かめることができます。
問い合わせが無い、もしくは、少なければ、「相場より高めなのかもしれないので、もう少ししたら下げることも検討しなければならないかも」。多ければ、「このまま空室になって内見が可能になってから、状況を確かめてみよう」と、予測を立てながら募集活動を行えます。
こうすることで状況に応じた対策を、早めに講じることがができ、無駄な時間を費やすこともなくなります。
2週間という期間は、1週間では、情報の浸透と問い合わせまでの期間としては、問い合わせ状況を判断するだけの数を得るには短く、それ以上の3週間や1ヵ月となると、問い合わせを内見に繋げるには期間が空きすぎるからです。
問い合わせによって、情報を得つつ、それを実際の内見に繋げるには、2週間という期間がちょうどよいと考えています。
当社では、家賃などの募集条件設定から入居者募集方法について、効率的で効果の高い内容での募集活動をご提案いたします。
お気軽にご相談ください。
工期が掛からず簡単にできて、少額でできる設備を導入してみる
新規募集時の賃料アップには、設備を変えることも効果があります。
照明をおしゃれなものに変える、キッチン水栓を2バルブ水栓からシングルレバー水栓に変える、壁の一面にアクセントクロスを貼るといったことは、簡単に行える工事です。
退去立会の時に、これらの設備に不具合がみられ交換や張替が必要なのであれば、設備のちょっとしたグレードアップを検討することをお勧めします。
大幅な賃料アップに結び付くことはないかもしれませんが、空室率を下げる効果や、その後の修理費用を下げる効果には結び付き、結果、収益性アップに繋がります。
物件の写真を見栄えの良いものに変える
外観写真や室内写真を見栄えの良いものに変えることは、費用をかけずに集客効果を上げることができます。
写真を変えることは、直接賃料アップには繋がらないかもしれませんが、ポータルサイトから問い合わせを得る手段としては効果的で、賃料アップでの募集の効果を上げることにも影響を及ぼします。
株式会社リクルートの「2023年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」によると、物件を決めるまでに訪問した不動産会社の店舗数は平均で1.5店舗で2011年度から2以下が続いています。不動産会社で物件を探すのではなく、ポータルサイトに掲載されている物件情報や写真で、内見するかどうかを決めるようです。
値上げした家賃が相場やニーズとかけ離れていなくても、物件写真の見栄えが悪ければ、内見に繋がることはありません。それでは、募集条件について、正確な判断ができません。
そういう意味では、掲載する物件写真が、賃料アップに繋がるともいえるでしょう。
見栄えの良い写真を撮るコツは、撮影する時間とアングルです。最近のスマートフォンは、カメラの性能も上がっていますので、見栄えの良い写真を撮ることも、以前に比べると簡単になっていますが、それでも時間とアングルにこだわらないで撮った写真は、それなりの出来になります。
賃料アップ後の反響について、正しく効果測定を行うためにも、見栄えの良い写真を掲載するようにしましょう。
礼金や敷金、その他の入居条件緩和も賃料アップには効果的
賃料アップには、礼金や敷金等の賃料以外の入居条件の緩和も効果的です。賃料が上がっても、入居時の初期費用を減らしたいというニーズがあるからです。
家賃保証会社が、原状回復費用も保証してくれるようになった昨今では、敷金を受領する意義も薄れてきているのか、敷金の代わりにクリーニング費用を初期費用として受領し、初期費用を低くする物件も増えてきています。
ただし、礼金を0にするということは、管理会社や仲介会社に支払う成約報酬が1か月分の場合、オーナーにとっては、1ヵ月分の賃料の手出しとなります。他に客付け会社に支払うADが必要な地域では、更にその分の費用が別に掛かります。
賃料アップができても手出しが多ければ、結果的に収益性は下がります。条件変更をする場合には、この条件ではこれくらいの期間で決まり、全体的な収益性はこうなるといったシミュレーションをした上で、内容を決めていくことが大切です。
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