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賃貸マンション老朽化とどう向き合う?定期的な修繕を実施していなかった賃貸オーナーが築40年の節目に考えたい修繕計画

賃貸マンション老朽化とどう向き合う?定期的な修繕を実施していなかった賃貸オーナーが築40年の節目に考えたい修繕計画

賃貸マンション老朽化とどう向き合う?定期的な修繕を実施していなかった賃貸オーナーが築40年の節目に考えたい修繕計画

賃貸マンションは築年数の経過とともに、外観の古さが気になり始めるだけでなく、建物内部の配管、屋上防水、外壁等、目に見えない老朽化が進行しやすい時期に入ります。

大規模修繕工事は、12年から15年の周期で実施することが望ましいとされています。管理組合と管理会社で運営されている分譲マンションと異なり、一棟まるまるワンオーナーの民間賃貸マンションでは、修繕の実施状況はオーナーの知識や経済状況に左右され、定期的な修繕が行われていないことも珍しくありません。

定期修繕を行っていなかった物件は、築35年~45年ほどで、給排水管からの漏水、外壁や屋上防水層の劣化による雨漏りなど、問題が一気に表面化します。そういう時のトラブルは、大抵が複合的な要因によるもので、原因解明に時間が掛かったり、莫大な費用が必要であったりします。

突発的に発生する大きな出費は、経営状況やオーナーの精神面にも影響し、マンションを手放さざるを得なくなったというオーナーもいます。

建替えを検討しようにも、建替えは、入居者を退去させる費用や収入源の逸失、建替え費用の捻出など、解決しなければならない問題は、大規模修繕工事よりも複雑です。

築古賃貸マンションの修繕に大切なのは、「何から着手するべきなのか」という優先順位を正しくつけ、無理のないスケジュールで計画的に修繕を進めることです。本記事では、青山物産が管理現場で蓄積してきた実務経験をもとに、築古賃貸マンションの修繕の進め方をまとめました。

築古マンションを所有している賃貸オーナー様は、是非参考にしてください。

この記事のポイント

  • 長年大規模修繕工事を行わっていなかった築古賃貸マンションの、初めて行う大規模修繕工事の進め方を解説
  • 建物を風雨から守る防水に関する工事や、放置することで人命に関わる工事から始める
  • 定期的に継続して行うには、自己資金だけでなく、借入や助成金の利用も検討が必要

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定期的に修繕をしてこなかった築古賃貸マンション、初めて検討する大規模修繕工事の進め方

賃貸マンションは、オーナーが修繕計画や資金計画を自ら行わなければなりません。建物の状況把握、修繕箇所の選定・修繕計画立案・業者選別・資金計画と、やらなければならないことは多岐に渡り、専門的な知識も求められます。
何から手を付けてよいかわからず、気づいた時には、何十年も経っていたということもあるでしょう。

改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル

出典:国土交通省 改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル


出典:国土交通省 改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル

そんな状況に陥っても、建物の状況次第では、そこから大規模修繕工事を実施しても、遅くはありません。まずは、どのように実施すればよいかの手順を見てみましょう。

STEP1:建物全体の状況を把握する

始めに行うべきなのは、全体の劣化状況を把握するための建物の調査です。調査する箇所は、主に、外装部分(屋上、屋根、外壁・基礎)、共用設備(共用廊下・階段・給排水管)、内装や室内設備(内装の状況・室内の給排水管・水回りの設備)の3つです。

それぞれの調査個所や、調査方法、依頼する業者について見て行きましょう。

【外装部分の調査】

外装部とは、風雨から建物を守る箇所です。屋上の防水層の劣化状況や、屋根の状態、外壁はクラックの有無、タイルの浮きの有無、シーリングの劣化状況、腐食の有無、エフロレッセンスの有無、基礎はクラックや剥離の有無が主な調査個所です。

  • 屋上・屋根・・・防水層の劣化や破断、浮きが発生していないかを調査。
  • 外壁・・・タイルの浮きや欠落、シーリングの劣化、塗膜の劣化(チョーキング現象)、ひび割れ、腐食、エフロレッセンスなどが発生していないかを調査。
  • 基礎・・・ひび割れや欠落が起きていないかを調査。

調査は、外壁塗装や防水工事を専門に行っている業者に、見積もりと併せて依頼するとよいでしょう。

【共用設備の調査】

共用設備は、廊下や階段など、入居者が通行する箇所と、パイプスペース内にある給排水管が主な調査個所です。

廊下・階段・・・防水層の劣化や破断、塗装の剥離、鉄部の錆や欠落が発生していないかの調査。
給排水管・・・漏水が発生していないかの調査

廊下や階段は、外装部分の調査と同じ、塗装や防水工事を専門に行っている業者で対応可能です。給排水管については、パイプスペース内での漏水の有無であれば、専門の業者でなくても、目視で調査可能です。管の内部の状態は、専門業者による内視鏡調査で分かりますが、排水管のみ実施可能で、室内の排水設備から行います。

【内装や室内設備】

内装や設備の工事

内装や室内設備は、水回りの設備や給排水設備が主な調査個所です。

  • 水回りの設備・・・キッチンやトイレ・浴室といった設備が、劣化や陳腐化していないかの調査
  • 給排水管・・・漏水が発生していないか、配管に錆や劣化がないかの調査

水回りの設備は、専門業者でなくても、目視で調査可能です。排水管は、定期的に雑排水管洗浄を行っているのであれば、その業者に内視鏡調査を依頼するとよいでしょう。外側は目視で調査可能です。

STEP2:見積もりの取得と着手する順位を検討する

調査が終わり、項目ごとの工事内容や金額が分かったら、次のステップは、工事の優先順位決めです。

調査の結果に基づき、緊急性の高い工事があればそれを最優先に行います。修繕工事には、次の3つの目的があり、当社では、以下の順番で行うことをお勧めしています。

  1. 建物の安全性を維持する工事
  2. 収益性を高める工事
  3. 資産価値を高める工事

手元の資金と相談しつつ、借入可能額なども考慮して、中長期の視点で、施工順位を決めて行くとよいでしょう。

建物の安全性を維持する工事

安全性を維持するための工事

安全性を維持する工事とは、建物の構造体や、基礎となる部分を健全な状態に保ち、入居者の生命や財産を守るために行う工事です。代表的なものとして、屋上防水・屋根補修・外壁補修・避難経路や階段の安全性確保、階段やバルコニーの手すり部分の補修、給排水管の更新工事などが挙げられます。

賃貸マンションを長期にわたり安定運営するためには、建物そのものの「安全性」を確保することが欠かせません。一見すると華やかな工事ではありませんが、老朽化が進む築古マンションでは特に重要です。

外壁のひび割れやタイルの浮き、防水層の破断は、雨漏りの発生原因となり躯体へ大きなダメージを与え、給排水管の劣化は漏水事故につながり、入居者の生活に影響します。手すりの劣化や避難設備の不備は、人命に関わる重大事故につながりかねません。

安全性を維持する工事は、目に見える効果が入りにくいため後回しにされがちですが、建物の寿命と資産価値を左右する最も重要な投資と言えます。

収益性を高める工事

収益性を高める工事とは、入居者から選ばれやすい物件へとアップデートし、家賃収入の向上や空室期間の短縮につなげるために行う工事を指します。

代表的な例としては、キッチンや浴室・トイレなどの水回りの設備の交換や、間取りを変えたり収納を増やしたり、内装を変更するリノベーション工事、宅配ボックスやオートロック、インターネット無料設備の導入といった工事です。

単に家賃を上げるためだけのものではなく、入居者のニーズを捉え、選ばれる物件としての市場価値を維持することで、空室リスクを下げ、安定経営を実現するための投資です。築浅物件が好まれがちな日本の住宅市場において、競争力を上げるための、築古マンションの経営には欠かせない取り組みと言えるでしょう。

資産価値を高める工事

資産価値を高める工事とは、単に修繕や設備の刷新に留まらず、物件そのものの市場価値を向上させ、将来的な売却益や長期的な収益安定につながる工事をいいます。「収益性を高める工事」や「安全性を維持する工事」と重なる部分もありますが、住宅の性能を向上させ、より長期的な視点で、物件の魅力そのものを高めるための工事です。

一例として、窓サッシの交換や断熱性能を向上させる工事、エントランスのデザイン変更など、物件全体のグレードを押し上げる工事も資産価値向上に直結します。

STEP3:工事の優先順位を決めて工事を進める

施工順位が決まったら、次は実際に工事を始めます。

外装や共用部分の工事の段取りと進め

大規模修繕工事といわれる、外壁や屋上、共用部の工事には、通常3ヶ月以上かかります。足場を設置する際は通行の妨げになることがあり、洗濯物が干せなかったり、駐車場や駐輪場が使えなくなったりします。また、給排水管の更新工事の場合は一時的に水道が使えず、不便をかけてしまうこともあるでしょう。そのため、できるだけ早くスケジュールを立てて入居者へ知らせ、協力しやすい体制を整えておくことが大切です。

足場を必要とする工事は、同じタイミングでまとめて実施すると、コスト削減につながります。例えば、外壁補修工事・屋上防水工事・階段やバルコニーの手すり補修工事は、足場が必要な工事であり、大規模修繕工事専門の業者にまとめて依頼し、同時期に行うのが一般的です。

これまで大きな修繕工事をしてこなかった建物は、外壁だけでなく建物内部の壁にもひび割れがあることがあります。そのような場合、既に内部に水が浸入している可能性も考えられます。外壁と内部の壁の補修を同時に行うと、もし工事後に漏水が発生した場合、再び両方の工事が必要になります。そのため、まずは外壁や屋上の防水工事を行い、2~3年様子を見て、問題がなければ内部の工事をする、といった二段階の進め方が望ましいでしょう。

居室内の工事の段取りと進め方

内装リノベーションや、室内の給排水管工事に関しては、壁の内部や床下の改修となり、床や壁を剥がす作業が伴います。そのため、入居中には行うことができません。退去のタイミングで、ひと部屋ずつ行うことになります。施工期間は、広さや工事内容にもよりますが、1~2ヶ月です。大きな音の出る工事ですので、事前に他の入居者に通知をし、理解を得るとともに、夜間や土日の工事は避けるなどの配慮も大切です。

修繕ロードマップを成功させるための3つの原則

これまで主だった修繕をしてこなかった築古の賃貸マンションで、修繕工事を効果的に進めるためには、3つの重要な原則がありますので紹介します。

原則1:外部の風雨から建物を守る部分を優先的に行う

外部の風雨から建物を守るための工事

まずは、建物を外部の雨水から守る、防水に関する工事を優先して行いましょう。雨水は、建物の耐久性を弱めるため、劣化を早めます。一旦建物内部に侵入した雨水は、身を潜めながら時間を掛けて建物を侵食し、突然大きな不具合とともに顕在化します。雨水による漏水は、発生個所や原因の特定が難しく、調査や補修に時間も費用も掛かります。

防水工事を後回しにして他の工事を行っても、漏水によって再工事が必要になってしまうこともあります。大規模な修繕工事を行うと決めたのであれば、まずは雨水の侵入を防ぐ工事を、優先して行うことが原則です。

防水工事の完了後は、2~3年ほど様子を見ます。その期間で漏水が発生しないようであれば、その他の工事に取り掛かるとよいでしょう。

原則2:室内の工事は、退去のタイミングを最大限活用する

室内の設備交換や内装のリノベーション工事は、入居中は、家具の移動や設備の使用制限など入居者に負担を強いることになったり、そのため、工事内容が制限されたりと難しい作業になるため、入居者が退去後の、空室になってから行うことをお勧めします。

空室であれば、床や壁を解体し、間取りの変更や水回りの設備の一新、給排水管の更新なども、一度に行うことが可能です。部分的な修繕に比べて費用は掛かりますが、賃料アップが期待できて、長期的には修繕費の削減にもつながる工事が実施できます。

原則3:長期計画として分割しながら進める

大掛かりな修繕工事について、いくつか挙げてきましたが、全ての工事を一度に行う必要はありません。工事後は、不具合の発生がないか、確認する期間も必要ですし、資金状況を改善する期間も必要です。

優先順位をつけて、3〜5年程の期間を空けて、少しずつ進めていくことで、オーナーにとっても無理のない運営が可能になります。

大規模修繕工事を成功させるための資金計画

定期的な修繕が行われていなかった、築古賃貸マンションで、初めて大規模修繕計画を検討した時の、修繕の内容や優先順位について解説しましたが、もうひとつ重要なのが、資金計画です。段階的に行うとはいえ、それぞれの工事には資金的な負担が発生します。自己資金で賄うのか、金融機関から借りるのかは、オーナーにとっては大きな悩みの種です。

自己資金から捻出することは、シンプルですが、手元資金が大きく減ることで、次の修繕計画や今後の運営方法にも影響が出ることもあります。一方、借入を活用する場合は、いままでの融資の取引実績がある金融機関があれば良いですが、なければ、金融機関探しから始める必要があります。また、借入に対して抵抗のあるオーナーもいるでしょう。

自己資金で賄うべきか、借入をするべきかの判断は難しく、オーナーの資金的余力や収支状況によっても、最適解が異なります。すべてを自己資金で賄うことは、一見すると借金もなく、返済の不安もなく良さそうに思いがちですが、現金の枯渇によって、不測の事態に備えることができなくなったり、修繕のサイクルが遅れたりすることもあります。「借入=借金」ではなく、「借入=資金調達」として捉え、柔軟に検討することをお勧めします。

また、耐震・省エネ・空き家対策など、補助金や助成金が活用できるケースもあります。工事内容や地域によって利用できる制度や、可否が変わりますが、施工会社にも相談し、調査してみるとよいでしょう。

大規模修繕工事を行うことで、賃料アップによる収入増や、減価償却による節税効果により、収支が改善することがあります。定期的に行っていくのであれば、次の修繕に向けた積立計画も必要となりますので、管理会社や税理士と相談し、作成することをお勧めします。

青山物産では、建物調査から修繕計画の策定、資金相談、リーシング戦略まで、賃貸マンションオーナーを総合的にサポートしていますので、築古賃貸マンションを所有し、今後の活用についてお悩みのオーナー様は、是非ご相談ください。

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