長く賃貸管理の現場を経験してきました。自身もオーナーとして不動産投資や賃貸経営を行っています。その経験を共有し、皆様の賃貸経営にお役立ていただければと思い本ブログを運営しています。1976年生まれ、2人の娘の父です。
【保有資格】CPM®(米国不動産経営管理士)/(公認)不動産コンサルティングマスター/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士/相続アドバイザー
賃貸アパートや賃貸マンションを所有している賃貸オーナーは、多くの方が賃貸管理会社に管理業務を委託し、関わりを持っているかと思います。
管理業務を委託するきっかけは、購入したときに販売会社から紹介された会社にそのまま依頼していたり、昔からの付き合いの会社に依頼していたりと、様々でないでしょうか。
賃貸経営が成功するかどうかのカギは、賃料収入を高く安定した水準で維持できるかどうか、満室経営ができるかどうかです。満室経営には、物件の競争力もさることながら、賃貸管理会社の入居者募集力、力の2つの力が欠かせません。
今回の記事では、満室経営のカギとなる、賃貸管理会社の入居者募集力について、管理業務を依頼する前に担当者に確認しておきたいポイントを解説します。
これを読むことで、賃貸経営を成功に導く最適のパートナーである、入居者募集力のある管理会社の選定にお役立てください。
- 入居者募集に自信がある管理会社の見極め方を紹介しています。
- 入居者募集力のある管理会社は、募集図面や物件写真のクオリティが高い。
- 地場業者回りやファックス営業も行っている会社は、入居者募集力がある。
目次
入居者募集に自信がある賃貸管理会社かどうか
その賃貸管理会社が、入居者募集力に自信があるかどうかは、直接担当者に聞いてみるのもよいですが、「入居率は9〇%です」と回答されることが殆どかと思います。
しかしながら、「入居率はコントロール可能」です。
決まりにくければ賃料を下げることで決まりやすくなりますし、フリーレントを付けたりADを上げたりすることでも決まりやすくなり、そうすることで入居率も上げられます。
このような入居率は、オーナーの負担の上に成り立っているものです。
もちろん、賃料減額や、条件変更の提案を行うことは、悪いことではありません。
しかしながら、そこに至るまでに、どのような募集活動をしたのか、やるべきことはすべて行ったうえでのことなのかは、確認したいところです。
では、入居率だけではない入居者募集力は、どのように確認すればよいのでしょうか。
次の項目では、安易な提案ではなく、その前に、やるべき入居者募集活動をしっかり行ってくれる賃貸管理会社かどうかを見極めるポイントを、いくつか紹介します。
入居率だけではない、本当の入居者募集力の見極め方
では、客付け能力を確認するには、どのようなことを確認すればよいのでしょうか。
この項目では、管理会社選別の際に、入居率では見えない、客付け能力を見極めるポイントを解説します。
図面のデザインと物件写真のクオリティーを確認する
SNSが発展している現代では、物件への問い合わせをSNS経由ですることも多くなり、第一印象となる「写真から得られる印象」がとても重要となりました。
入居者は、ポータルサイトやSNSに載っている写真を見て、内見したいかどうかを判断します。
希望条件を入れ、出てきた物件一覧を、スマホをスクロールしながら、内見したい物件の品定めを行います。物件写真を見て、魅力的だと感じなければ問い合わせはしません。
そのため、募集用の物件写真の重要度が以前にも増して、高まっています。
物件写真は、アングルや構図によって印象が大きく変わりますし、写真の印象で内見するかどうか判断されてしまうのであれば、管理会社が撮影する物件写真の質で内見数が変わり、ひいては入居率にも影響します。
物件写真の撮影時に、アングルや構図にこだわっている会社かどうかを確認することは、ご自身の物件の入居率にも関わることですが、意外と確認をしていないオーナーが多いので、確認をお勧めします。
また、併せて募集図面も確認するようにしましょう。
募集図面は、客付け会社や入居者への提案資料です。デザイン性の高さもさることながら、ひと目で必要な情報が分かるようなデザインかどうかという点も重要です。
他社からのポータルサイトへの広告掲載を可能にしているかを確認する
入居者募集の際に、管理会社自社だけで募集活動を行わず、他社客付け会社とも協力して入居募集を行っているか確認することはとても重要です。
ここでの協力とは、他社客付け業者に対し、ポータルサイトやホームページへの掲載を許可し、積極的に紹介してくれるよう促しているかどうかです。
過去の事例として、大手管理会社で1年間空室率50%だった物件が、当社で募集を開始してから同じ条件で3ヶ月で満室になったこともあります。
違いは、前管理会社は他社への広告掲載を不可、当社は可としていたことです。
室内写真の質の違いもあったかとは思いますが、大きな要因は「広告掲載可」であり、これによって、情報の拡散スピードが上がり、客付け業者の営業への物件の認知度が上がったことも影響しています。
入居募集の際に、客付け業者に対し、広告掲載可としているかどうかは、必ず確認するようにしましょう。
募集を開始してからの確認方法は、SUUMOやHOMES、athomeなどのポータルサイトで、オーナーが委託している管理会社以外からの掲載があるかどうかで判別できます。
委託していない会社からの募集が複数あれば、「広告掲載可」であり、なければ「自社のみで募集」ということが分かります。
地元の業者回りやFAX送信など積極的にアピールしてくれるか確認する
募集活動を行っても、なかなか反響が得られないことがあります。
そんな時に、地元の業者や川上の業者(入居者を引っ張ってきてくれる近隣主要ターミナルにある業者)に物件紹介の営業回りを行ってくれるかどうかは、空室に対して親身に対応してくれるかどうかの、判断基準にもなります。
正直なところ、地元の業者や川上の業者に物件紹介の営業を行っても、すぐに状況が好転することはありません。
ただ、営業を行うことで、日々変化するその地域の賃貸市況を知ることができ、賃料が高いのか需要がないのか、生の声を聞き、募集戦略に活かすことができます。
地元の業者回りやFAX送信など積極的にアピールしてくれるか確認することは、空室時に、親身になって対応してくれるかどうかを見極める基準にもなり得ます。
反響報告をしてくれるか確認する
意外に反響報告を行う管理会社は少ないです。
反響報告とは、ある期間でどの様な層から何組の内覧があり、内見しても申込に至らなかった理由を確認し、オーナーに報告することです。
ポータルサイトやレインズでも閲覧回数を確認できますので、どれくらいの回数図面が見られているか、詳細ページを見られているかも募集戦略には重要なデータです。
この反響報告をしない管理会社は、反響の確認をしていませんので、決まらなければすぐに賃料減額の提案をしてきます。
もちろん、オーナーのスタンスによって、賃料を下げてすぐ決めた方が良い場合もありますが、多少時間がかかっても賃料を維持する方が良い場合もあります。
例えばですが、12月では反響がなくても、1月2月では決まる条件である可能性もあります。その辺りの微妙なニュアンスは、内見数や反響数を確認し、反響確認のヒアリングをしなければ判断できません。
反響報告をしてくれるかどうかは、募集活動の細かい状況をオーナーと共有し、オーナーの意図を酌んだ募集戦略を行ってくれるかどうかの判断材料にもなります。
入居者募集力がある会社が行っていることのまとめ
ここまでお読みいただければ、どのような賃貸管理会社に任せることで、安定した賃貸経営が行えるかがお分かりいただけたかと思います。
最後に、入居者募集力が高い賃貸管理会社が、入居者募集の際にしっかり行っていることをまとめます。
- 図面のデザイン性と物件写真の質が高い
- 他社からのポータルサイトへの広告掲載を可能にしている
- 地元の業者回りやFAX送信など積極的にアピールしている
- 反響報告をしてくれる
賃貸管理会社選びの際には、この4つを是非確認してみてください。
ただし、これは入居者募集に限っての項目です。他にも確認すべき項目はありますので、後日記事にしたいと思います。
目次