これからの契約は普通借家契約?定期借家契約?

新規募集を始める時、普通借家契約にするか、定期借家契約にするかでお悩みになるオーナーさんも多いのではないでしょうか。
ここでは居住用建物を貸す場合の、普通借家契約と定期借家契約の違いや活用方法の違いについて考えていきます。

普通借家契約と定期借家契約の違い

普通賃貸借契約と定期借家契約の違いは何でしょうか。

大きな違いは4つです。

  • 更新の有無
  • 借主からの中途解約の可否
  • 貸主からの解約
  • 契約の締結方法

普通借家契約

■契約期間&更新の有無

契約期間は2年でも3年でも、5年、10年でも、期間の制限なく定めることができます。
期間満了後は、貸主に解約の正当事由がない限り更新されます。
但し、1年未満の契約は「期間の定めのない契約」となります。期間の定めのない契約とは、契約の期間の定めがない契約ですので更新がなく、貸主または借主からの申し入れにより解約となります。解約予告期間は、貸主からは6ヶ月、借主からは3ヶ月ですが、貸主からの申し入れによる解約は、正当事由がなければできません。

当初は契約期間を定めていたとしても、契約期間満了後に合意による更新がなされなかった場合は、法定更新となり期間の定めのない契約となります。

正当事由とは、おおむね以下の4つです。

  1. 貸主が建物の使用を必要とする事情
  2. 建物の賃貸借に関する従前の経過(家賃滞納や信頼関係の破壊など)
  3. 建物の利用状況及び建物の現況(老朽化など)
  4. 建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出(立ち退き料の支払いなど)

※どれか一つを満たしていれば正当事由になるわけではなく、総合的な判断となります。

■借主からの中途解約

契約期間内での中途解約に関する特約で、解約の予告期間や直ちに解約する場合に支払う金銭の額について定めることができます。

■貸主からの解約

借地借家法では第27条1項に、「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。」とあり、賃貸借契約書にはその旨の記載もありますが、借主が更新を希望している場合には、貸主からの契約期間内での解約や、契約期間終了時の更新の拒絶は、貸主に正当な事由がない限りできません。(借地借家法第28条:建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

定期賃貸借契約

■契約期間&更新の有無

契約の更新がなく契約期間の終了とともに建物の明け渡しを受けることができます。普通賃貸借契約と違い、貸主の正当事由は必要ありません。契約期間は普通賃貸借契約同様、制限はありません。更新はありませんが、貸主と借主の合意により、再契約することもできます。契約を終了する場合は、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に借主に契約が終了することの通知をします。

■借主からの中途解約

基本的に契約期間中はできません。但し、床面積が200㎡未満の住宅に限り、借主にやむを得ない事由(転勤・療養・親族の介護等)が発生し、住み続けることが困難な場合は、借主からの解約の申し入れができ、申し入れの日から1ヶ月経過の後に契約が終了します。
普通賃貸借契約同様、中途解約に関する特約で、解約の予告期間を定めることもできます。

■貸主からの解約

契約期間中はできません。但し合意により借主が退去を承諾した場合はできます。

■契約の締結方法

公正証書等の書面によって契約します。契約書とは別に、契約の更新がなく期間満了とともに契約が終了する旨を借主に書面を交付して説明する必要があります。

※平成12年3月1日以前に締結された居住用建物の普通借家契約は、借主と建物が同じ場合、当分の間、定期借家契約への切り替えは認められていません。

定期借家契約にすると、イメージダウン?賃料は普通賃貸借より安くなる?

定期借家制度が始まったのは平成12年3月です。始まってから暫くは制度自体が認知されておらず、期間満了後に必ず退去しなければいけない、入居者が不利な契約として入居が敬遠されていた節もありました。

当時賃貸管理会社の営業として、新築物件の家賃査定や募集活動の提案のための市場調査をしていましたが、定期借家契約の物件自体も少なく、あったとしても相場より2割ほど安い賃料で募集していて、定期借家契約は安くなるという認識があったように記憶しています。

主に建て替えや転勤中に一時的に貸したいオーナーが利用していて、普通に入居者に住んで欲しいという投資目的のアパートやマンションで利用するオーナーはほとんどいなかったとのではないでしょうか。

施行から18年経った最近では、入居者やオーナーにも当時よりは認知されていますし、仲介会社も物件確認の際に、オーナーに再契約する意思があるかどうかを問い合わせるようになってきています。

一時的な賃貸借だけでなく、トラブルを起こす不良入居者に対して対抗力を高めるためという理由も浸透してきていますので、一方的に入居者が不利な契約という認識も薄まってきているように感じます。

そういった状況ですので、定期借家契約を理由に賃料が安くなるということはなくなってきています。

弊社でも普通賃貸借と定期借家契約の違いを説明し、オーナーに選択していただくようにしていますが、再契約を前提としている定期借家契約の場合は、賃料査定に関してはどちらも同じ水準にしています。

定期借家契約を選択した方がいいオーナー

定期借家契約は期間満了とともに確実に解約できる契約ですので、普通賃貸借契約に比べオーナーの入居者に対する対抗力が高まります。

建て替えが決まっている建物や転勤中の自宅など、一時的に建物を貸したいというオーナーには最適な契約形態です。

また、トラブルを起こす入居者やマナーの悪い入居者など、入居してからでないと分からない事態にも対応しやすく、定期借家契約であることが、入居者に対する抑止力になることもあります。

一時的な賃貸借だけでなく、通常の賃貸借であっても入居後のトラブルを長引かせない効果や、未然に防ぐ抑止的な効果も見込めますので、建物内の環境保全にも有効な契約ではないでしょうか。

オーナーの入居者に対する対抗力が高まる契約形態ですが、契約や期間満了の際に交付しなければならない書類も多く、不備があると普通賃貸借契約の扱いになりますので、注意が必要です。

再契約となるため、仲介会社や管理会社に対して仲介手数料が発生することもあります。

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